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通常学級について思うことー20年の学習塾経営経験から

発達が気になる子どもが、通常学級(普通学級)に在籍した場合 

私の息子には 知的障害があるので、学校時代は特別支援学校、特別支援学級の両方を経験しました。

  • 小学校1・2年生  特別支援学校
  • 小学3~6年生   特別支援学級
  • 中学        特別支援学級
  • 高等部       特別支援学校

息子が生まれる前の1995年、私は特別支援学校教員免許取得のため実習生として特別支援学校に入っていました。その後、起業し20年間、学習塾を経営していました。(現在は手放しておりますので無関係の会社です)

 私自身も小学生のクラス(小学1年生~3年生)を担当し、算数と国語を教えていました。世の中にある学習塾の中には受験を目的としているところもありますが、私がやっていた学習塾は基礎学力をつけることを目的にし 、同時に定型発達児であっても学校の授業のスピードが速すぎてついて行けない子を指導する補習塾的なものでした。

実際、入会希望の保護者から「学校の担任の先生から、『全く勉強についていけていないので、塾にでも通って学力をつけてほしい』と個人面談で言われたので入会をしたい」と言われることもありました。

学習塾経営時代

 

この話を聞いて 「学校の先生、無責任すぎる!」と感じるかもしれませんが、実際問題、学校の先生は、学年末までに教科書を最後まで終えなくてはなりません。「クラスの子全員に理解させるために、教科書は3分の2の範囲までしか進んでいません」ということは許されないのです。

熱意がある先生は、早朝や放課後などに、理解していない生徒を集めて補習することもあるかもしれません。けれども、教員は激務です。放課後に宿題の採点をしたり、教材の制作をしたり、不登校の子を訪問したり、手が回らない実態もあります。ですから、これができる先生ばかりではありません。

知的遅れがある子を通常学級(普通学級) に通わせるときに押さえておきたいこと

知的遅れがない場合、現在の制度では大概、通常学級(普通学級)に通うことになります。(学力以外のコミュニケーション力や椅子に座っていられない等、課題がある場合は通級を利用することもあります。)

けれども知的遅れがある場合は次のことを頭に入れておいた方がよいと感じています

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通常学級(普通学級)での学習は

  • 定型発達の子どもが学ぶことを前提にカリキュラムが組まれている。
  • 学年相当の学習を理解できることを前提に教科書が作られていて、授業が進んでいく。

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例えば、小学2年生の算数でならう「かさ」の問題です。

定型発達児の中にも「○○mlは何リットルですか」の換算問題が登場するとお手上げ状態になる子どもが多くいて、この問題を出されると嫌がっていました。 

これが理解できる能力があるかどうかが、障害のある子を通常級 に通わせることができるかを判断するポイントのように私は感じています。

 

特別支援教育の教材 

これらは息子が使っていた教材です。

 

 

これは中学の頃の支援級の教科書です。

 

 

 息子の知能で理解できる課題を個別に用意してもらい、きめ細かな指導を受けることができました。

 

通常学級にこだわらなくてもいい 

介護人不足の場合、知的障害があるお子さんの通常学級在籍を希望した家庭に「親御さんが同伴してくださることが通常学級在籍の条件です」と言われ、給食費を払って給食も一緒に食べ、6年間付き添っていた親御さんがいました。

でも、他の子の発達を目にして、知人は精神的に相当つらかったようで、同時に子どもに無理な要求をするようにもなってしまいました。

確かに担任は楽かもしれませんが、これは親御さんにとっても、子どもにとっても良い環境ではないと私は感じます。

自治体によりますが、知的遅れがなく行動の課題を理由に支援級を希望してもも、「知的がなければ特別支援学級には通えません」と断られてしまうこともあると聞いたことがあります。 

せっかく特別支援教育 を受けられる状況にあるのであれば、その機会はぜひ活用してほしいと思います。

 

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
Voicy  https://voicy.jp/channel/4272
オフィシャルサイトURL https://tateishi-mitsuko.com/
テキトー母さんのすすめ(アメブロ) https://ameblo.jp/tateishi-mitsuko/

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