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子どもの癇癪どうする?│子どもが自分で感情コントロールできるようになる3ステップ

いつもと違う道順を通った……、宿題に✖を付けられた……、ゲームに負けそうになった、負けた……。

大人からしたら些細なことをきっかけに、すぐに癇癪を起こすお子さんは多いもの。発達障害やグレーゾーンのお子さんならなおさらのことです。たま~になら「成長の過程」と思えることも、毎日毎日起きると、いい加減にして!と思ってしまいます。

子どもなんだから、泣くのは当たり前。お子さんの成長を見守るママやパパは、きっと、成長とともにこの癇癪もなくなるのだろう……そう思っているかもしれません。

でも、3カ月前と比べて癇癪が起こる頻度やパワーが増えていたり、大きくなっていたりする場合には注意が必要です。なぜなら、些細なことですぐに癇癪を起こしてしまうお子さんは感情の理解やコントロールがうまくできていない可能性があるからです。

「感情の理解」はできている?

泣いたり怒ったりするお子さんを見ると、喜怒哀楽がしっかりしているので、感情の理解ができているように見えます。また、「感情って教えなくても自然に身に付くものだよね」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、発達障害やグレーゾーンのお子さんが自分で感情をコントロールできるようになるためには、そもそもその感情は何かという「感情の理解」の部分から、周りのサポートが大切です。

お子さんがすぐに癇癪を起こすので困っているママやパパは、次のことを振り返ってみてください。

お子さんは、「感情の言葉」を言えていますか?

お子さんは「感情の言葉」を言えていますか?感情の言葉というのは、「悲しい」「悔しい」「怖い」「苦しい」などの言葉です。

これらのネガティブな感情の言葉を口に出せていない場合、お子さんは自分の中にあるネガティブな感情を理解していないことやコントロールができていない可能性があります。

「嫌だ!」と言うことはあると思います。ただもう少し突っ込んで「感情の言葉」を言えているかを振り返ってみましょう。

もし、感情の言葉を言えていない、自分の身に起きた受け入れがたいことを癇癪を起こして発散させている場合には次のサポートがオススメ。経験談を交えながら、3つのステップをお話しします。

感情の理解やコントロールができるようになるステップ1:
癇癪を起こしている時は「無反応」

例えば、いつもと違う道順を通っただけで癇癪を起こされた時、宿題に✖を付けただけで癇癪を起こされた時、ゲームに負けそうになった、負けただけで癇癪を起こされた時……どんな関わりをしていますか?

わたしの子どもも、このようなことでよく癇癪を起こしていました。わたしはその都度、自分の都合を伝えたり、なぐさめたり、励ましたりしていました。言い聞かせれば分かってくれると思っていたのです。でも、言い聞かせれば言い聞かせるほど、子どもは混乱したように荒れてしまいました。

発達障害の特性を勉強し、子どもの様子を観察する中で、癇癪を起こしている時には、「言葉や視線をかけてはいけない」ということが分かりました。子どもの癇癪は激しいし、何十分も続くので、早く落ち着かせたくて言葉をかけたくなってしまいます。でも、言葉をかける度に子どもの癇癪は火がついたように激しくなってしまいます。子どもとわたしの我慢比べの時間でした。

実は癇癪は、子ども自身がなんとか自分のチカラで気持ちに折り合いをつけようと頑張っている過程でもあります。

少し前、お子さんの癇癪で悩まれていたママさんをサポートさせていただきました。年長のお子さんに無反応を試したところ「ママが無反応をすると、自分が楽になる」と言われたそうです。

子どもが大声で泣き喚いている声を聞くと同じ部屋にいるだけで頭が痛くなってしまいますが、子ども自身も、何とか自分を落ち着かせようと頑張っているのですね。

感情の理解やコントロールができるようになるステップ2:
癇癪が落ち着いたら「共感」

子どもが癇癪を起こしている時に言葉や視線をかけずにいると、癇癪パワーが少しずつ弱くなってきます。その様子を観察しながらお子さんが落ち着いているようでしたら、癇癪のきっかけになったお子さんのネガティブな感情を言語化して、共感をしましょう。例えば、

  • いつもと違う道じゃなくて、(怖かった)ね
  • 宿題に✖を付けられて、(悲しい)ね
  • ゲームに負けて、(悔しい)ね

などです。

お子さんが癇癪を起こしている間に言葉や視線をかけないということは、「無視」になります。でも、お子さんの癇癪が落ち着いたタイミングで「共感をする」ことで、ママ・パパが気持ちを分かってくれた。と感じることができます。

また、感情を理解していないお子さんは、ママやパパから感情の言葉をかけれられることで(このモヤモヤした気持ちは、怖いって気持ちなんだ)(このトゲトゲした気持ちは、悔しいって気持ちなんだ)と、自分が感じている気持ちに名前があることを学んでいくのです。

感情には、第一次感情と第二次感情があると言われています。癇癪などの泣いたり喚いたり暴れたりする感情は第二次感情です。怖い、悲しい、悔しいなどの第一次感情がたまって噴火した状態です。噴火させないためには、第一次感情に気づくことが大切。だから、本当の気持ちに気づくこと。分からないなら、誰かに教えてもらうことが必要なのです。

感情の理解やコントロールができるようになるステップ3:
まずは、ママ・パパが感情を言葉に出す

子どもが癇癪を起こした時に無反応をすることも、子どもが落ち着いてきた時に共感の言葉をかけることも、簡単なことではありません。子どもとも、自分自身とも我慢くらべの状態なので、苦しくなってしまう方がほとんどです。最初から完璧を目指すと、長く続かなくなってしまうので、ステップ1とステップ2が難しいと感じた方は、このステップ3からはじめてみましょう。

お子さんに共感しにくいママ・パパの中には、自分に共感しにくい方が多いように思います。悲しいことや苦しいことを我慢せざるを得ないこともたくさんあると思います。だけど、「悲しい」と言ったり、「苦しい」と言葉に出すことで、ママ・パパ自身が自分の感情に気づき、自分で癒していくことができるようになります。

また、お子さんに「ママは今日、こんなことがあって悲しかった」「パパは今日、こんなことがあって苦しかった」と伝えることが、お子さんにとって感情を言葉に出すお手本になります。

癇癪を起こしやすいお子さんはそんな姿をみて、ママやパパも悲しいと思ったり、苦しいと思うことがあるんだ!とネガティブな感情を感じることに安心感を持つことができるようになります。

ぜひ、試してみてくださいね。

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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