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発達障害のある子の小学校入学準備-親ができるサポート

卒園・入学シーズンですね。私は療育アドバイザーという仕事柄、発達障害があるお子さんやグレーゾーンと言われているお子さんの親御さんから様々なご相談をいただくのですが、その中でも「小学校入学」を控えている親御さんからのお悩みには切羽詰まったものがあります。

「子どもが入学後に困らないように、今から何か練習や勉強をはじめた方が良いですか?」というご質問もとても多いです。答えは、イエスでもあるしノーでもあります。

発達障害やグレーゾーンのお子さんは、周りの環境が大きく変わることで不安が大きくなり、トラブルに発展してしまう場合もありますので、やわらげてあげるための練習は意味のあることです。

でも、お子さんが苦手なことを無理にやらせることはやめましょう。失敗体験を繰り返し、「小学校って嫌だな、面倒だな」と、マイナスなイメージを強めてしまうことにもつながってしまいます。

今回は、小学校入学に関する親御さんのお悩みから、代表的なものをを4つ挙げて解説していきますね。

小学校の不安・トラブルその1.お友達との関わり

お友達に自分が思ったことを言って傷つけてしまう、すぐにお友達と喧嘩になる、お友達がいない……集団生活では、お友達との関わりは切っても切れないもの。トラブルが多かったり、わが子がいつもひとりでポツンといる姿を見ると、仲間外れにされていないか?いじめられていないか?と、親として不安になることもあります。

お友達とよくトラブルを起こしてしまうお子さんは、「トラブルが起きた時の言葉かけ」がとても重要です。例えば、子どもが暴言を吐いた、手を出したと聞くと、親御さんとしては、今すぐ注意しなければ、謝らせなければ、と考えるかもしれません。

しかし、手を出したお子さんには本人にしか分からない苦痛がある場合もあります。こちらの記事で詳しく書いていますので参考になさってください。

小学校の不安・トラブルその2.お友達ができない

なかなか仲の良いお友達ができず、不安な親御さんもいらっしゃるかもしれません私の息子もそうでした。

息子は保育園の頃、みんなが園庭で元気いっぱいに遊んでいるのに、ひとりで絵を描いている子でした。小学校に入っても、話の中にお友達の名前が出ることはほとんどなく、ひとりで下校する姿を見て、私が勝手に悲しくなっていた時もありました。

でも、3年生になった頃、好きなゲーム(マインクラフト)を通してお互いの家を行き来するほど仲の良いお友達ができました。興味・関心が狭い子ですが「ぴったり合う」子が見つかると、ぐぐぐっと一気に距離が縮まるんだなぁと分かりました。

そんな息子の姿をみて、私自身気づきもありました。「ママ友」と呼べる友達は片手で足りるくらいしかいません。でも、人数が少なくても信頼できる友達がいて十分だなぁと。

小学校の不安・トラブルその3.入学前の現在、登園しぶりや拒否がある

保育園・幼稚園時代に登園しぶりや拒否があると、この先もめちゃくちゃ不安になりますよね。(わが家もそうでした……)

しぶりや拒否の原因はお子さんによってそれぞれで、「〇〇をすれば必ず行けるようになる」という特効薬のようなものは難しいですよね。しぶりや拒否の原因の中には、子どもの不安があります。その不安を減らすために、できることをお話します。

対策1.本人に合った見通しを提示する

子どもの不安を減らす方法は、「見通しを与える」ということです。例えば、「就学する学校への見学」や「登下校の道順の確認」など、「新しい環境や状態を子どもが理解できるように伝える、教える」ことです。

年長さんになると、園や自宅でも小学校の話題が増えるので、お子さんも理解が進むでしょう。しかし、この環境の変化を具体的にイメージすることが、特に発達障害やグレーゾーンのお子さんはとても苦手です。自分がイメージしていたことと違う世界に戸惑い、パニックになるお子さんも少なくありません。

特に、感覚過敏のあるお子さんは不安が強く出ることがあります。お子さんの「見たことある」「知っている」ことが大きな安心になります。教室だけでなく、下駄箱やトイレ、保健室などもチェックしておくことをオススメします。

子どもの不安は、私たち親の不安や心配にもつながります。ぜひ、事前準備を心がけましょう。

対策2.子どもにとって大きな負担になっている課題は担任に相談する

入学後の話になりますが、地域によっては、集団登校がある学校もあると思います。この集団登校ですが、発達障害やグレーゾーンのお子さんは苦手な場合があります。

  • 列に並ぶ
  • 前の人との間隔を取る
  • 歩く

さらに、人数が多いのでたくさんの視線を感じたり、急かされたり注意されたりすることがあるので、自分のペースで歩けないんですよね。実は、集団登校には課題がたくさん詰まっているのです。

息子も集団登校が嫌で「学校に行きたくない」と言い出したことがありました。わが家の場合は、「どこを見て歩いていいか分からない」と言っていたり、手に重い荷物を持ってしまうと歩けなくなったりするので、後ろから私が荷物を持って付き添いをしていました。

お仕事をされていて、お子さんに付き添うことが難しい親御さんもいらっしゃると思います。学校のきまりだからと無理に行かせるのではなく、担任の先生と相談するという選択肢も持っておくと安心です。

小学校の不安・トラブルその4.勉強を嫌がる

年長さんくらいになると、就学を意識して少しずつ家庭学習をさせた方が良いかな?と考えるかもしれません。特に、不器用さを持つお子さんは、学習に課題を抱えてしまうことも。筆圧が強すぎたり、逆に弱すぎたり・・・また、消しゴムもうまく使うことが難しいことがあります。さらに、間違うことに抵抗があるお子さんは、間違える度に癇癪を起こして問題をグチャグチャにしてしまう・・・という声も大変多くお聞きします。

苦手なことを何度もやらせることは、失敗体験を繰り返し自己肯定感を低下させる可能性があります。鉛筆や消しゴムの練習をさせてはいけないということではありません。

でもまずは、お子さんは何が苦手なのか?どこに躓いているのか?を把握することが大切です。

例えば、不器用で鉛筆や消しゴムを使うことが苦手なお子さんは、指のどこに力を入れたらいいのか?分からないことがあります。そのような時には、鉛筆や消しゴムに持つところや力を入れる場所に印を付けることもオススメです。

また、間違いを指摘されることが苦手なお子さんだったら、ゲーム感覚でお勉強系のアプリを利用することもできるかもしれません。紙に書いて間違えることは嫌がるのに、アプリで間違えることは受け止めることができるお子さんもいます。

今からお子さんに合った勉強法を探しておくことは、お互いにストレスがかからない家庭学習の土台にもなります。ぜひ、色々試してみてくださいね。

入学~6年間の小学校生活をスムーズに迎えるために

親なら誰しも子どもが困らないように、スムーズに集団生活になじめるようにと願いますよね。私も、息子の入学時には神経をすり減らしました。

でも、小学校に入学することは、ゴールではなくスタートです。少々つまずくのは当たり前、完璧なスタートと思いすぎずに、6年間かけて成長していくイメージを持っておくことも大切です。

また、サポートをし過ぎることは子どもにとって自立する力を奪うマイナスなことに思えるかもしれません。

でも、発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、周りのサポートと成功体験があってこそ、自分の可能性を信じて前に進めるようになります。

この先ずっと続く、環境の変化や他者とのコミュニケーション、勉強・宿題への課題やサポート。息切れしないように気を付けながら、できる準備はしておきましょうね!

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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