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運動会や発表会への参加が難しい子のサポート、どうする?

もうすぐ秋ですね。運動会や発表会など学校行事が多くなる季節です。お子さんが行事への参加や集団行動が苦手だと分かっていると、親は心配や不安がつきませんよね。

また、行事の練習がはじまると、自宅で荒れやすくなったり、園や学校へ「行きたくない」と言ったりすることがあるかもしれません。その理由は疲れや慣れのせいで、時間とともに落ち着くはずと思いがちですが、発達障害やグレーゾーンのお子さんの場合は特性が影響しているかもしれず、サポートが必要です。

わたしの息子も、行事の練習や参加が苦手な子どもでした。練習がはじまると、(園や小学校へ)「行きたくない」という日が増えてしまいます。いてもたってもいられず、こっそり練習を見に行くと、お友達にどつかれたり、先生にずっとおんぶされていたり・・・幼稚園年中さん時の運動会は「欠席」という決断もしました。

でも、中学3年生になった今、周りの誰よりも学校行事への準備も参加も楽しんでいる姿を見ることができています。その姿は「やりたくなかった訳ではないのかもしれない」「苦手なことも楽しめる日がくる」ということを教えてくれました。もちろん、子どもの性格や好き嫌いはあります。でも、サポートをすることで、子どもの楽しそうな姿を見られたらうれしいですよね。

今日のテーマは、「行事への参加」です。参加が難しい3つの原因と、事前のサポートをご紹介します。

行事への参加が難しい3つの原因

子どもによってさまざまな原因がありますが、その中から3つ紹介します。原因をあらかじめ知ることで先手先手でのサポートが可能になります。お子さんをよく観察して当てはまるものはないか探ってみてくださいね。

行事への参加が難しい原因①急な予定変更が苦手

発達障害やグレーゾーンの子どもは、急な予定変更が苦手です。いつもの時間割に行事のための練習の時間が入ることで、不安やストレスを抱えてしまいます。先生が事前に伝えていたとしても忘れてしまい、「急に予定を変更された」と感じてしまいます。

さらに、子どもがとても楽しみにしていた活動や授業が変更になってしまった場合は、ますますパニックになりやすく、「いじわるをされた」と思い込んでしまう子どももいます。そのため、「練習」や「行事への参加」の前に、先生との信頼関係に影響がでてしまうことがあります。

行事への参加が難しい 原因②感覚過敏がある

また、感覚過敏がある子どももいるでしょう。行事の練習では、先生が子どもたちに対して「大きな声」かつ「一斉指示」で物事を伝えるため、聴覚過敏がある子どもの場合、先生の指示が聞き取りにくくなってしまいます。

個別に伝えたら理解できることも、周りの音があることで行動に移すことが難しくなります。そのため、何をして良いか分からずボーっとしたり、その場から逃げ出そうとしたり、困った行動をすることもあります。

わが家の息子は、聴覚過敏以外にもたくさんの感覚過敏があります。例えば、年長の時には周りのお友達は裸足で運動会に参加していましたが(園の方針)、触覚過敏のある息子は、砂の感覚が「痛い」と感じたため靴下をはいて参加しました。

感覚過敏に気づくまでは、ただ「やりたくない」と言っていたので、怠けているだけだと思っていましたが、靴下をはいて参加できることになってからは積極的に練習に参加することができました。

未就学~低学年までは、自分のやりたくない理由を言葉で説明することができませんし、感覚過敏は生まれた時からあるものなので、言語化がとても難しいのです。指示するだけではなく、「できない理由」や「嫌がる理由」に目を向けられるといいですね。

行事への参加が難しい 原因③見通し、想像力が乏しい

3つめは、見通しや想像力が乏しいことです。①の急な予定変更ともつながる部分がありますが、発達障害やグレーゾーンの子どもは、先のことを見通す力や想像力が乏しい場合があります。練習は頑張って参加できていたのに、本番で同じようにできないお子さんはこのような傾向が多いかもしれません。

そのひとつの原因が、「本番の人の多さ」です。運動会も発表会も成長を見せる機会でもあるため、当日はたくさんの人が来場します。でも、先のことを見通すことが苦手な子どもは、そこまで想像することが難しい場合があります。

お父さんやお母さんが来ることは理解していても、それ以上にもっとたくさんの人たちがいてザワザワしている状況にパニックを起こして、固まってしまったり、困った行動をしてしまったりすることがあるのです。

まずはこれだけ!うちの子に効果があったサポートは……

行事への参加が難しい原因を3つあげましたが、ここからはサポートについて考えてみましょう。上にあげた3つの原因は、子どもが持っている特性なので、何度繰り返し伝えてもできるようにはなりません。でも、子どもの特性に合ったサポートをすることで、一瞬でできるようになることもあります。

わが家の息子は、もともと運動が苦手ということもあり、運動会の練習がはじまると「行きたくない」「学校休みになればいいのに」という発言が増えてしまいます。母親としては、(みんなも頑張っているんだから)という言葉が出そうになりますが、グッと我慢。

息子の話をじっくり聞いていくと、

  • かけっこの線が分からない(線の内側と外側の区別が分からない)
  • ダンスの立ち位置が分からない

など原因が分かりました。

わが家の息子の場合、先述した3つにすべて当てはまるので、先生の話を聞き取れていなかったり、自分だけの見通しで行動して指摘されたりしているのかもしれないと考えました。

そこで、学校でも自宅でも「視覚的に」分かるよう絵に描いて説明をしてみました。すると、戸惑うことなく自分の走るべきコースを走り、ダンスも嫌がらずに踊れるようになったのです。

絵を描く、写真を撮って加工するって、正直面倒ですよね。特に、子どもの学年が上がってくると、「言えば理解できる」と思ってしまいます。でも、発達障害やグレーゾーンの子どもの中には、「視覚的に」指示を出すことで、さっきまでできなかったことが一瞬でできるようになることもあります。

行事がある度に子どもは崩れるし、自分もイライラモヤモヤしてしまう・・・そんな毎日を変えたい親御さんは、「視覚的に説明する」を、ぜひ試してみてください。

「視覚的に説明したのに、効果がでない」という方は、お子さんに合った指示になっていない可能性があります。「子どもに伝わる!視覚的指示」は、また改めてお話しさせていただきますね。

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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