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ママ結婚してもいい? 障害児ママだって恋愛したい

発達障害のある子供を育てていらっしゃるシングルママさんは、ハードな毎日の中で、自分のことは二の次、三の次。ましてや恋愛なんて考える余裕もない、という方もいらっしゃるでしょう。

自閉症の息子がいる私も、元夫と離婚してから10年ほどは「恋愛などできる余裕がどこに?」と思っていました。でも心のどこかでは、ときめきたい気持ちや、老後ひとりでいることへの不安もあったのです。そんな私も今は再婚して、充実した日々を過ごしています。

今回は

・自閉症の息子に結婚を打ち明けたときの反応は?
・姓を変えるために気をつけたこと
・新しいパパとの関係は?

このような内容を、わが家のケースとしてお伝えします。

障害児がいる私は「難あり物件」?

私と前夫の離婚が成立したのは息子が4歳のとき。私は38歳でした。離婚後すぐに次のパートナーを……という気持ちにはなれませんでしたが、40代になれば次第に寂しさを感じるようにもなります。

けれど「子供から見て親の恋愛なんて気持ち悪いだろう」「子育てをおろそかにするなと親が言ってくるのでは」などと、ブレーキをかける自分もいる。決定的なのが「中高年恋愛市場において、障害児のいる私は『難あり物件』に違いない」「再婚が子供に悪影響を与えるのでは」という思いでした。

オレそんなに器ちいさくねぇ

夫との出会いは私が47歳のとき。なれそめは割愛します(^O^)。入籍が48歳でしたので、数か月で決めたことになります。

息子のことも当然、常に話題にしていた中で、話が「お相手は私でいいんでしょうか」という流れになりました。「ウイッグユーザー(全ての毛髪を失いまして※詳しくはこちら)だし、こういう子もいるし…」と私が語り出したところ、さえぎるように「オレ、そんなに器ちいさくねぇ」と夫が言ってくれました。

ここで少しでも躊躇する様子が見えたり、息子を受け入れることに不安を覚える人なら、こちらから断ろうと思っていた私でしたが、「これは大丈夫そうだ」と確信したのでした。

ママ結婚してもいい?

さて、息子に夫のことをどう紹介しよう?

13歳という思春期に突入した息子に「彼氏がいる」と言えば変な刺激をしそうだし、「相手がどんな人か」はまずはそんなに重要じゃない。だからストレートに、息子が落ち着いているときにこう話しかけました。

「あのね。話あるんだけどさ。ママ、結婚してもいい?」

すると、息子はパーッと顔を明るくして目を輝かせ

「えっ! ゆみさん、結婚するんですか!」

と、身を乗り出して聞いてきました。

それからは「(お相手は)誰ですか」「どこの人ですか」「(結婚は)いつですか」と質問攻めです。テレビなどで見ていた「結婚」というイベントが、うちにも来たことを楽しんでいるかのような感じでした。

ママの幸せは子に伝わる

夫をはじめて会わせたとき、息子は高揚した表情で自分の名前を言って自己紹介し、夫を「かっこいい」とほめてくれました。「ママが取られるのでは」「知らない人がパパになるのがイヤ」といった抵抗は私からみて感じられず、ひとまずは安心です。

⁡もともとあまり人見知りせず、はじめての場所も人も平気な息子。⁡そのうえ夫の雰囲気とか、夫といるときの私の様子を見て不安材料がなかったのが大きな理由かなと感じます。
⁡ママが心から幸せであることは子供にちゃんと伝わるんですね。

姓を変えるタイミング

息子の話から少し脱線しますが、実はこの時期、息子よりも、健常児である娘の方が心配でした。中学3年という多感な時期で、真面目さや繊細さから学校に行けなくなっていたのです。

せっかくだから不登校を満喫しようぜと、ふたりで水族館までドライブに行った帰り道、車の中で例の「ママ結婚してもいい?」というセリフを伝えました。もともと「再婚ってしないの?」とふたりのときに聞いてきてくれていた娘なので、私の幸せを喜び「おめでとう」と言ってくれました。

娘の状況を考えると、私たち親子が「細川姓」に変わる(わが家はこの選択をしました)タイミングは、娘が中学を卒業し息子が中学2年に上がる春休みがベストでした。娘は「細川姓」で高校の寮に入り、あたらしい環境で生活をはじめることができましたし、のほほんとした息子は新学期から何の抵抗もなく「細川○○です」と名乗り始めました。

結局拍子抜けするほどあっさりと、子供たちは夫のことも細川姓になることも受け入れてくれたのです。

⁡新しいパパとの関係

再婚前、夫は成人した息子2人と持ち家に一緒に住んでいましたが、結婚を機に私の家に入り、元の家には夫の息子たちだけが住むことになりました。

うちの息子ははじめて夫と会ったとき「この人がお父さんになるのか。楽しみだな。」と感じたそうで、すぐに夫と仲良しになりました。もう何回行ったか分からないくらい、息子と夫の2人で「男旅」に出かけています。⁡息子のほうからドライブに誘うのです。おでかけ好きの息子にとって、家にいる大人=ドライバー要員が増えることはメリットでしかありません。

⁡私なら「ダメ」ということ(おやつとか)も夫は好きにさせてくれますしね。⁡⁡息子に対して叱る、注意する、あれしてこれして言う、は基本ママの仕事。⁡⁡夫は受け入れて見守って、私が悩むと客観的な意見を言ってくれる……⁡そんな感じでバランスがとれています。

このように、大きな波乱なくすべり出したかのように見えた私の再婚ですが、このあと、細川家に試練が訪れることになります。息子と新しいパパに何が起きたのか、どう乗り越えたのか、この先のコラムでご紹介させていただく予定です。お楽しみに♫

執筆者プロフィール

細川 有美子(ほそかわ ゆみこ)

1968年生まれ、福島県在住。
バックパッカーとして海外旅行中に出会ったエジプト人と2000年に結婚。現地で子供2人を出産する。2003年子供と帰国したのち、息子の発達障害が判明。夫とは2005年に離婚。
これまでに自閉症(中等度発達遅滞)・ADHD・精神障害・難病(クローン病)の診断を受けた息子の子育てと現在を、Instagramで発信。
2014年より取材・執筆活動を開始し、現在は事業所でのパート勤務、再婚の夫とふたりで米づくりにも奮闘している。
◇たきちゃん農場 https://www.takirice.com/
◇Instagram https://www.instagram.com/yumiko_days

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