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障害年金の対象となる病気とは?

「障害年金」は、病気やケガによって障害の状態になったとき、生活を支えるものとして受給できます。肢体の障害(手や足)などの外部障害のほか、精神障害やがん、糖尿病などの内部障害も対象になります。以前は、うつ病や発達障害などの精神疾患が障害年金の対象になると思われていませんでした。最近は、うつ病や発達障害も対象となることが知られてきました。

なお、障害者手帳がない場合でも、障害年金は手続きできます。

対象になる疾病一覧 

主なものは次のとおりです。

部位 疾患名
白内障、緑内障、ブドウ膜炎、網膜色素変性症 など
聴覚、鼻腔機能、そしゃく、嚥下機能、言語障害 メニエール病、感音性難病、頭部外傷または音響外傷による内耳障害、咽頭摘出術後後遺症、上下顎欠損 など
肢体 脳卒中、脳出血、関節リウマチ、進行性筋ジストロフィー、上肢または下肢の離断または切断 など
精神 統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかん、発達障害、高次脳機能障害 など
呼吸器疾患 気管支喘息、肺繊維症、肺結核 など
心疾患、高血圧 狭心症、心筋梗塞、悪性高血圧症
腎疾患、肝疾患、糖尿病 慢性腎炎、ネフローゼ、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病 など
その他 悪性新生物、直腸膀胱障害、慢性疲労症候群 など

■障害年金は原則、傷病名を問わない

ほとんどの病気やケガが対象となり、原則傷病名を問いません。

ただいくつかはあります。精神疾患には大きく分けて精神病と神経症があります。精神病は障害年金の対象ですが、認定基準上、神経症(パニック障害など)は原則対象外とされています。

しかし認定基準で「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。

なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。」となっています。

※ICD-10とは?

・International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略。
・世界保健機関(WHO)が作成した疾病の分類。

 

原則傷病名を問わないということを知って欲しいなぁと思います。

当事務所では以前、「片頭痛」の治療をされている方からご相談を頂きました。最初は、「対象になるかなぁ?」と悩みましたが、認定基準に片頭痛は障害年金の対象にならないとは書いていないため、チャレンジし、その後障害年金が認められました。

■必要な診断書

次に、障害年金の請求に必要な診断書を確認したいと思います。様式は全部で8種類あります。

様式 部位・状態
様式第120号の1 (眼の障害用)
様式第120号の2 (聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障害用)
様式第120号の3 (肢体の障害用)
様式第120号の4 (精神の障害用)
様式第120号の5 (呼吸器疾患の障害用)
様式第120号の6-1 (循環器疾患の障害用)
様式第120号の6-2 (腎疾患・肝疾患、糖尿病の障害用)
様式第120号の7 (血液・造血器、その他の障害用)

 

どの種類の診断書を使用するかは、傷病名で決まるのではなく、「どの部位や状態に一番大変さがあるか」で決まります。

たとえば、くも膜下出血を発症した場合「肢体」を考えることが多いと思いますが、肢体以外にも障害が残る場合もあります。視神経を障害された場合は、障害年金の対象となる疾病は「失明」で診断書は「眼」を使います。もし、高次脳機能障害になった場合は、診断書は「精神」を使います。

 

障害年金を受けるには、本人またはご家族による年金の支給申請の手続きが必要です。障害年金の手続きは複雑ですので、手続きを行う前に、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」に電話するか、年金事務所や街角の年金相談センターなどに行くか、私たちのような社会保険労務士に事前に相談してみてください。

 

執筆者プロフィール

松山純子(まつやま じゅんこ)

・肩書
代表社員
・専門分野
障害年金、労務管理など社労士業務全般
・略歴
YORISOU社会保険労務士法人代表社員。卒業後、700名のうち約半数が障害者という福祉施設(身体・知的・精神)で人事総務およびケースワーカーとして10年以上勤務。障害があっても働きやすい環境整備と周囲の理解があれば就労は可能であること、社会とのつながりが人を元気にしてくれることを学ぶ。 平成18年松山純子社会保険労務士事務所を開業。 平成29年10月に法人化を行い、YORISOU社会保険労務士法人となる。

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