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不安症とは?子どもの不安症が疑われるときの親の接し方について

不安症とは精神疾患の1つです。精神疾患と聞くとなんとなく他人事のようにも思えますが、実は生涯で4人に1人は不安症の診断を満たすといわれています。コロナ禍の今、子どもにとっては不安症がより身近になりつつあります。大切なのは親が不安症について理解してどう対応したらいいのかを心掛けておくことです。

 

1.不安症とは?

不安という感情はうれしいや悲しいのように誰もが抱く感情の1つです。不安という感情を感じること自体は悪いことではありません。適度な不安を感じることでパフォーマンスが向上するなど、時には不安を感じることはよい結果にもつながります。

但し、不安という感情が度を越えてしまうとそれが身体や心に影響を及ぼし不安症になってしまうことがあります。例えば買い物に行くために家を出て、途中でガスコンロの火を消したかどうか思い出せず不安になってしまうことがあるとします。

こういう時、実際に家に帰ってガスコンロの火が消えているかを確認するまで買い物どころではありません。ですがこのような場合、不安要素を解決することによって再び自分のしたいことに集中することが可能になります。

一方、不安症の子どもの場合、1つの不安要素が解決しても、また違う不安要素が生まれ、常に何かを心配しているため本来なら1人でできる登校や勉強ができなくなってしまいます。

こういう時、子どもの精神面の不調に気づかずに登校や勉強を強要してしまうと、子どもができないことを自分の能力不足だと誤認識してしまい自己肯定感が下がってしまったり、鬱などの二次障害を発症してしまう可能性もでてきますので、注意が必要です。

2.不安症の症状や原因は?

不安症といっても症状は様々です。

人前で話すことに極度の不安を感じることもあれば、ヘビや高いところ、献血など特定のことやモノにたいして不安症を発症することもあります。不安症の原因は様々ですが、遺伝子のみで不安症を発症することはなく、不安になりやすい特性に対して環境的な負荷がかかった時、または不安になりやすい遺伝子を持っていなくても環境的な要因により不安症を発症することがあります。

 

不安症の症状は心拍が早くなり発作のように感じられるものから、冷や汗をかいたり、頭痛、腹痛があったり人によって様々です。とくに子どもの場合、本人が不安症を自覚できることはあまりなく、集中力がなくなったり、お腹が痛いなどの体調不良を訴えることが多くあります。

 

3.親はどう接すればいいの?

まずは子どもの様子がいつもと違うとき、なるべく子どもの話に耳を傾け、行動を観察するようにしてください。

子どもが特定のものを怖がったり、避けたり、睡眠に支障が出ている場合は不安症を疑いましょう。子供の感情記録(何時ごろに何に対して不安を抱いているのか、何を避けようとしているのか)を取ることでパターンが見えることもあります。

 

短い時間でできるアクティビティとして「深呼吸の練習」があります。鼻から大きく息を吸い、お腹に空気を送り込み、口からゆっくり吐きだす。シンプルなようですが、これができない子どもが多く見られます。

不安が大きくなると呼吸が浅くなる傾向があります。日頃から自分の力で落ち着く練習をすることによって、刺激過多になった時にそれをコントロールする力につながります。「深呼吸の練習」は、いつでもどこでもできる、とても効果的な方法の一つです。

 

また子どもに不安な様子を指数化させることも不安を可視化させるのに効果的な方法です。

(0 が全く不安のない時 10 が不安や怖い気持ちが強くて逃げ出したくなる時など)

子どもが不安に感じている状況に関して他の見方をする練習をしてみるのも効果的です。

例えば犬が吠えることで襲われるのではないかと不安を抱いている子に「あの犬、あなたと遊びたくて吠えてるんだね」など状況は変えられなくても捉え方を変えることで感情が変わることを教示してあげるのもよいでしょう。

数週間ほど様子を見てこの不安の指数が下がらないときや行動観察でお子さんの状況が良くならないときは、なるべく早く専門家を受診してください。

 

4.不安症の治療法

不安症の治療法は様々です。

お薬を使って不安を強めている脳に直接働きかけることもあれば前述のようにカウンセリングを通して薬を使わずに自分の考え方、感じ方、行動パターンを変えるという方法もあります。

早めに介入することで不安症の診断を満たさずに症状の改善を図れたり、軽度の不安症であればお薬よりもカウンセリングでストレス対処法を学ぶことで不安症を克服することが可能です。

大切なのは1つ受診してうまく行かなくても諦めないことです。保護者がこの精神科医なら、またこのカウンセラーなら信頼できるという専門家を見つけることが大切です。



 

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執筆者プロフィール

道地真喜(どうち まき)

臨床心理士
カリフォルニア州立大学院(修士)教育学
カリフォルニア州私立大学院(博士)心理学
カリフォルニア州臨床心理士免許
カリフォルニア州での臨床経験約10年
ASDのお子様向けのABAセラピー、3歳から18歳を対象とした心理検査、 認知行動療法、プレイセラピー、大人の鬱、不安症のカウンセリングを主に実施
アメリカでの臨床経験を活かし、(株)すららネットにて発達障害児への心理検査、 カウンセリング、保護者向けのペアトレーニングなどに従事。

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