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発達障害の私が仕事をする上で気をつけていること

2022.04.27

ご存知の方も多いと思いますが、私自身、発達障害です。ADHDと算数LD(学習障害)、ASD(自閉スペクトラム症)傾向があります。今は自分の特性に合ったフリーライターの仕事をしていますが、事務職の会社員だった頃はミスばかりで全く仕事ができませんでした。

しかし、フリーライターに転職してからは働きづらさがぐっと減りました。働きづらさは減ったのですが、それでもスケジュールを間違えていたり打ち合わせをうっかり忘れていたりと、ミスをしてしまうことは多々あります。そんなミスを防ぐために日々私がやっているライフハックについて今回ご紹介いたします。

■仕事のメールは即返信

基本的に仕事のメールには即返信します。後で返信しようと思っていると必ず忘れてしまうからです。それに、レスポンスが早いとクライアントさんからの信頼も得られます。先送り癖がある人もいるかもしれませんが、仕事のメールだけは即レスすると次の仕事にも繋がります。

■大きなカレンダーにスケジュールを書き込む

以前は外を飛び回って取材に行っていましたが、コロナ禍の今、リモート取材も増えました。外出が多かった頃は手帳に予定を書き込んでいましたが、いちいち手帳を開かないとチェックできません。そのため、うっかり打ち合わせの日程を間違えてしまった、なんてこともありました。

また、私は視覚情報が弱く、たくさんのモノがあるといろんなところに目がいってしまいます。そのため、現在は手帳を廃止し、その代わりに部屋のデスクの前に大きなカレンダーを掛け、そこにスケジュールを書き込むようにしました。大きなカレンダーで、しかもデスクの目の前だと自然と目がいきます。これでスケジュールのうっかりミスは減るようになりました。

■道に迷ったらスマホのマップかタクシーを利用する

私は空間認識能力が低く地図が読めず、頻繁に道に迷います。リモート取材が増えましたが、たまに対面の取材もあります。そんなとき、迷って遅刻してしまっては困るので、iPhoneのマップを使っています。iPhoneに最初から搭載されているマップは今自分がどこにいるのか非常にわかりやすく、ナビもついています。

しかし先日、マップのナビを使っても迷ってしまったことがありました。取材の時間が迫ってきます。マップを見ると取材場所はすぐそこなのは分かるのですが、たどり着けないのです。そこで取った行動は、近くてもタクシーを利用することでした。たったワンメーターの距離でしたが、おかげで取材時間ギリギリに到着することができました。

■電話ではなくメールなどの文書で残してもらう

ワーキングメモリの問題で、私は電話が苦手です。最初に聞いた内容がするすると抜け落ちてしまうのです。なので、仕事ではできるだけ電話ではなくメールやLINEなどの文書でやり取りをして後で見ても分かるようにしています。

今どき、電話をしてくる人のほうが少ないので特に頼んではいないのですが、高次脳機能障害の文筆家の鈴木大介さんはメールの署名に「連絡はメールかLINEでお願いします」と記載しています。

■忘れそうなことはリマインドを頼む

以前、うっかり〆切を失念していたことがありました。その際は編集者さんからの「もうすぐ〆切ですが進捗はいかがですか?」といった内容のメールが届いて思い出し、すぐに執筆して無事〆切に間に合わせました。以来、この編集者さんは〆切が近づくと必ずリマインドのメールをくれるようになりました。忘れそうなことはリマインドを頼むのも一種の手です。

■低気圧で体調が悪いときはしっかり休む

発達障害傾向のある人は気圧の変化に敏感で体調を崩してしまう人が多いです。私も低気圧になると身体と頭が重くなります。気圧アプリを入れて、この日は気圧が下がるなとわかったら、できるだけ気圧が下がる前にやるべきことを終わらせておき、いざ気圧が下がって体調が悪くなったらしっかりと休みます。

湯船に入って身体を温めたり、脇の下のリンパをマッサージしたりと、できる範囲の気圧対策も行います。私は気圧対策の薬を飲んではいませんが、気圧の変化で起き上がれなくなるほどひどい人は病院に相談して薬を飲んでいる人もいるので、あまりにも気圧の変化に弱い人は病院に行って診てもらったほうがいいでしょう。

以上、発達障害の私が仕事をする上で気をつけていることでした。少しでも参考になりますと幸いです。

執筆者プロフィール

姫野桂

フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。
日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナと読書、飲酒。

著書
『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)
『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)

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