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サテライト型グループホームとは

グループホームの中には、サテライト型と呼ばれるものがあります。サテライトとは、他のものに付属している機関や施設を指します。本体住居であるグループホームに付属している、小さな施設という関係ですね。一般のグループホームとの違いや特徴は、どのようなものがあるものでしょうか。

■ほぼ一人暮らしで自立に向けた練習ができる

サテライト型グループホームは、共同生活を営むというグループホームの趣旨を踏まえつつ、1人で暮らしたいというニーズにも答えて、地域における多様な住まいの場を増やしていく観点から、本体住居との密接な連携を前提とした、一人暮らしに近い形態のサービスを提供するものです。2014年に新たに創設されました。本体住居とは、サテライト型住居への支援をする、2人以上が入居するグループホームです。本部となるグループホームなどからは少し離れたところにあるアパートなどの部屋で、一人で生活をします。

入居している人は、通常はアパート等で生活し、そこから日中活動の場所に通います。本人の希望に合わせて、食事や余暇活動は本体住居の食堂や居間などを利用することもできます。また、単身での生活で困ったことがあれば、支援員に連絡して駆けつけてもらったり、サポートしてもらったりできます。

こういったサテライト型グループホームには、共同住宅よりも単身生活を望んでいるけれど、まったく支援がない状態では不安な人、将来的に一人暮らしを実現するための練習をしている人、などが生活しています。

また、大きな通所施設などが近くのアパートなどを借り上げて管理、そこに障害者が一人暮らしをするといった事例もあります。厳密にはサテライト型とは言いませんが、ほぼ同様の仕組みです。

実際にサテライト型で生活している方に話を伺ってみると、次のような話をしてくれました。

「前は入所施設だったけど、一人暮らしで自由なのがうれしい」

「人と一緒にいると落ち着かないので、ここは安心していられる」

「ここで練習して、将来は自立したい」

「頑張ってお仕事してお金を貯めて、彼と住みたい」

サテライト型住居をステップとして、次の生活の姿を描いている様子がうかがえました。

■サテライト型グループホームの課題

住んでいる方の満足度は高いように感じますが、運営する立場からは課題や問題点もあるとのことです。

食事を本体住居で取るかは本人の希望次第なので、各自で食べている場合は栄養面などの不安があります。また、本人がちゃんと服薬しているかなど毎日チェックするのは難しく、健康管理の部分でも課題があります。

さらに、本体住居から少し離れた場所にサテライト型住居がある場合、本人がちゃんと仕事に行っていて、帰宅しているか把握ができないので、一週間くらい帰っておらず、警察に捕まっていたという事例もあるとのこと。

サテライト型グループホームは、メリットも多いスタイルですが、管理面で難しいことも多く、なかなか数が増えない実態があるようです。ただ、まだ始まってからも日が浅い制度でもありますので、障害者の将来の自立生活をサポートする有力住まいの選択肢なので、ぜひ今後増えて行ってほしいと思います。

執筆者プロフィール

渡部 伸

  • 1961年生、福島県会津若松市出身
  • 「親なきあと」相談室主宰
  • 東京都行政書士会世田谷支部所属
  • 東京都社会保険労務士会所属
  • 2級ファイナンシャルプランニング技能士
  • 世田谷区区民成年後見人養成研修終了
  • 世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書
障害のある子の「親なきあと」~「親あるあいだ」の準備
障害のある子の住まいと暮らし
(ともに主婦の友社)
まんがと図解でわかる障害のある子の将来のお金と生活(自由国民社)

渡部 伸

執筆者プロフィール

渡部伸

1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰
東京都社会保険労務士会所属。
東京都行政書士会世田谷支部所属。
2級ファイナンシャルプランニング技能士。
世田谷区区民成年後見人養成研修終了。
世田谷区手をつなぐ親の会会長。

主な著書
障害のある子の「親なきあと」~「親あるあいだ」の準備
障害のある子の住まいと暮らし
        (ともに主婦の友社)
まんがと図解でわかる障害のある子の将来のお金と生活(自由国民社)
障害のある子が安心して暮らすために~知っておきたいお金・福祉・くらしの仕組みと制度(合同出版)

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