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算数LD持ちの私が困りごと対策のためにやっていること4つ

2022.10.05

発達障害の一種である学習障害(LD)。主に読み書きに困難が生じるディスレクシアと計算や空間認知能力を苦手とする算数LDと呼ばれるものがあります。どちらも併発している人もいますが、私は算数LDの当事者です。2桁以上の繰り上がり・繰り下がりのある足し算引き算、%の計算ができず、空間認識能力も弱いためすぐ道に迷ってしまいます。

 

私の前職は建設会社の経理だったのですが、数字を扱う事自体が苦手なため、ミスは日常茶飯事。経費のグラフ作成の際はとんでもない数値を叩き出してしまったり、加えて不注意傾向のADHDもあるため、書類の作成時は抜けや漏れが頻発していました。当時はまだ発達障害の診断が降りていなかったため、「ただのポンコツ」と思っていましたが、今考えると算数LDとADHDの特性によるミスだったのだなとわかります。

 

そして今はフリーライターとして仕事をしたら困りごとはだいぶ減りました。しかし、それでも日常生活や仕事において困りごとは残っています。そこで今回は、算数LDの私が困りごと対策のためにやっていることを4つご紹介いたします。

 

■計算は電卓を使う

経理の仕事はやめましたが、フリーライターをしていても計算をする機会は多々あります。例えば雑誌の仕事だったら文字数を列ごとに数えたり、400字詰原稿用紙換算でギャランティーを提示してくるクライアントさんの際は計算が必要です。

また、日常生活でも例えば生活用品のストックがいくつあって、あといくつストックしておけばいいのか、スーパーでレジに行く前にカゴの中の商品がだいたい合計いくらになるのかなど。そんなときは、無理して暗算せず、スマホの電卓を使います。恥ずかしいなんて感情は捨てちゃいます。文明の利器をパパっと使いこなしちゃいましょう。

■%や割合の計算は友人や知人に頼む

私が一番苦手としているのが%や割合の計算。スーパーで半額や50%オフと書かれてあると分かるのですが、3割引などと書かれてあるとちんぷんかんぷんです。書籍の印税率も大抵8%〜10%が相場で、1500円の単行本を出したとして10%の印税なら1冊150円と分かるのですが、8%になった途端わからなくなります。

そんなときは友人や知人に計算してもらったり、あるときは担当編集者さんに計算してもらったこともあります。担当編集者さんには私が発達障害であることを伝えているのですぐに理解してもらえました。友人も私が計算が苦手とわかっているので、一緒に飲みに行った際の割り勘は全て任せています。

ここで運が良いのは私の場合、かけ算九九はできることです。暗記するだけなので呪文のようにして小学生の頃に覚えました。ただ、暗記力を苦手とする人はかけ算九九を覚えられずもっと大変な思いをしているのではないかなと思います。

 

■スマホの地図案内アプリを利用する

空間認識能力が弱いため、初めて行く場所では必ずと言っていいほど迷います。そこでまたまた文明の利器が登場です。今の世の中は便利ですね。スマホ一台あれば大抵の困りごとは解決します。道に迷いそうなとき、いつもスマホの地図案内アプリを使っています。「●m先を右」などとナビしてくれるのでその通りに進んでいます。でも、それでも迷ってしまったときはタクシーを使うこともあります。

■税理士に依頼する

フリーランスで働いている私は毎年、確定申告があります。5年ほど前までは自力でやっていたのですが、どうも税金や国民健康保険料が高すぎておかしく思い、同じくフリーランスを営んでいる父親に確定申告の書類を確認してもらったところ、大幅に間違えて申告していたことが発覚しました。何十万も損をしていたのです。そのとき、私には確定申告は無理だと悟り、税理士さんに依頼することにしました。

税理士さんでも主にライターさんの顧客を抱えている税理士さんを先輩ライターさんから紹介していただき、過去の間違えていた確定申告を修正してもらいました。そして無事、損をしていた分の金額が戻ってきました。今は毎月、領収書と通帳のコピーとクレカ使用料の明細と原稿料や印税の支払通知書などを送って、確定申告の時期には源泉徴収票を提出しておしまいです。

税理士費用はかかってしまいますが、青色申告なのでそれも経費にできます。毎月書類を送るだけで計算は全部税理士さんがやってくれるため、確定申告時の負担はガクンと軽減しました。

これらが算数LDの私がやっている工夫です。同じく算数LD持ちの人の参考になればうれしいです。

 

執筆者プロフィール

姫野桂

フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。
日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナと読書、飲酒。

著書
『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)
『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)

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