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発達障害のある子の偏食の原因の探し方って?詳しく説明します(前編)

前回は、偏食の原因には口腔機能的な問題、感覚的な問題、栄養的な問題があることを書かせていただきました。(前回のコラムはこちら)
実際、何が原因か把握しようと思っても、原因が重複している場合もありわかりづらくなっています。

今回は、偏食の原因が何かを探す方法について書かせていただきます。

■偏食の原因を把握する理由

なぜ原因を把握する必要があるのでしょうか?それは例えば、食べるとおえっとなってしまい慣れない食材を食べることができず、焼飯やカレーしか食べられないとしましょう。

しかし食材の硬さや食感によってうまく噛めないで呑んでしまうことが原因で、おえっとなっている場合、焼飯やカレーばかりを食べていたらいつまでも噛む力が付きません。噛む力の付くものを少しずつ増やしていかないと解決できないからです。

うまく食べられない原因を解決することが安心して色々な食材を食べることに繋がります。

■7つの偏食原因の探し方

具体的な偏食原因の探し方は以下の7つの方法があります。

① 食べられるものの把握
・食べられるもの、以前食べていたもの、メーカーや切り方、調理法等
・食べられるもので、噛むことができるか、食感、味に偏りがあるか、食べる量などのバランスが悪いかなどがわかります(口腔・感覚・栄養)

② 食べている時の行動の観察・記録
・食べ方:時間、方法、習慣など(口腔・感覚・栄養)
・何で食べる食べないを決めているか(口腔・感覚)
・口腔機能に問題はないか(口腔)
・発達年齢はどのあたりか
・言語理解はどうか:目が合わない、マッチング(同じ物を組み合わせること)ができる、言うことは理解できる、話すことができる(感覚)

これらを観察、把握することで、どのように食べるものを選んでいるかの参考になり理解しやすくなります。

③ 身体・栄養状況はどうか:運動機能、身長、体重
・活動状態、体重の多い、少ないで食べている量が適正かわかります(栄養)

④ 家庭での食事記録
・日々の食事の状況はどうか(食事記録から)平日と休日の外食や実家での食事など
・食べる量、むら、種類などから、口腔機能状態、栄養バランス、どのような感覚で食べているかがわかります(口腔・感覚・栄養)

⑤ チェックリストを参考にする:どのグループの対応が合うか
・ 感覚・形態・慣れたものを食べるグループのどの対応があるか確認する(感覚)

⑥ どのようにしていくか計画する
・①~⑤の状況から何が主な原因か探り、どのような段取りでなおしていくか考える

⑦ 実施して状態をみながらステップアップ、内容の修正を行う
・⑥の計画を実施してみる。計画が合えば継続し、合わないようなら変更する。状態が変わってきたら対応も変更してステップアップする。

それでは①~⑦の偏食原因の探し方についてより詳細に説明します。

食べられるものの把握

ご飯・麺・パン・肉・魚・卵・豆腐・芋類・野菜・果物・乳製品・飲み物・間食などの食べている状況を把握することで下の表のように硬い物や繊維質のものをすりつぶして噛めていないために偏食になっているなど傾向がつかみやすくなります。

食べている時の行動の観察・記録

食べている時の状況、感覚的なもの、口腔機能、発達状態を観察していきます。食べているときの観察・記録をする理由は、おこっている行動から食べられない原因が推測しやすくなるからです。

下の表から、繊維質でない軟らかいものばかりを食べていることがわかります。

 

下記の項目で当てはまるものを見つけ、どの項目に原因の可能性があるか参考にしてみましょう。

③身体・栄養状態の把握

偏食を改善していく上で、食べられるものがどんどん増えるわけではありません。

食べられるカロリーは同じで、多くカロリーをとっているものを少し減らすと、他の食材に入れ替わり種類が増えて偏食がなおっていきます。(下右の図:1回目ピンクの菓子パンが多かったのを減らすと三角の中の食材が増えていっています)そのため、安定した空腹を作っていく必要があります。毎日細かい栄養計算はできませんので、身長と体重の状態を見て、栄養が不足しないかつ食べすぎないようにしていく必要があります。

 

人によって必要なエネルギー量は違うので、成長曲線をつけたり、カウプ指数の推移で把握します。カウプ指数とは乳幼児の栄養状態や体格の判定に用いられる指数です。

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=カウプ指数 で計算します。

偏食の相談をしているとカウプ指数14,15台が平均的に多いです。
カウプ指数16以上は体重が多めで、食べるカロリーが多すぎる可能性があり、偏食がなおりにくい傾向にあります。12~14台でも昔からその状態で体調不良などがなければ、痩せていても本人に適している場合があり個人差があります。歩けるか、座れるか、筋緊張が低い、活動量が多いか少ないかなども関係していきます。成長曲線はネットでお調べください。

次回は④家庭での食事記録からご紹介いたします。

 

 

執筆者プロフィール

藤井葉子(ふじい ようこ)

広島市西部こども療育センター 管理栄養士
http://www.hsfj.city.hiroshima.jp/020201030000seibutop.html

1967年 北海道で生まれ、各地を転勤し広島に在住。
平成16年より、17年間 障害のある子ども達の偏食、拒食、肥満の食事対応や相談を行う。
成人の施設での食生活改善相談の経験もあり、幅広い年代の方へアドバイスを行っている。

学会等で、自閉症の偏食に関する論文等を発表、「自閉症の偏食対応レシピ」やホームページ作成、「発達障害児の偏食改善マニュアル」を出版し、障害のある方の食事支援の仕方や必要性を紹介しています。

自閉症の偏食対応レシピ: https://holycow6.wixsite.com/nagisa
発達障害児の偏食改善マニュアル: https://www.chuohoki.co.jp/products/other/5944/

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