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子どもの困った行動が、特性でも性格でもー関わりのヒントー

お子さんが簡単なこともなかなかできるようにならなかったり、何度注意しても困った行動が直らなかったりすると、「これって、発達障害の特性なの?」と考えてしまうことがありますよね。

 最初はこの子の「気質」「性格」「今はそういう時期」だと自分に言い聞かせていても、成長や改善が見られないと不安になってしまいます。 特に、第一子の子育てはきょうだいと比較することができません。

わたしも息子が生まれた時、育児書に書いてある睡眠の目安や発達について、我が子に当てはまることが何ひとつ見つからなくても、「特性」だとは考えていませんでした。それくらい、目の前の子どもに振り回されていたのだと思います。

 今日は、お子さんの気になる言動が、特性なのか性格なのか分からなくて不安に感じている親御さんへのメッセージです。この記事を最後まで読んでいただけると、今すぐできる関わりのヒントが見つかるかもしれません。

 

 「特性かも?」と悩む前にできること

お子さんが簡単なこともできない時や、困った行動がなかなか改善しない時、次のような関わりをしていませんか?

  • 何度も言い聞かせる
  • できないことを何度も練習させる
  • 子どもに考えさせたり、反省させたりする

 ごく一般的な関わりのように感じられますが、実はできるだけ避けたい関わりです。

もう少し詳しく説明します。

●何度も言い聞かせる

何度言い聞かせても子どもができるようにならない時は、正しいやり方や正解、やる順番などを理解していない可能性があります。できていないことを指摘するだけではなく、子どもが分かる方法を伝えましょう。

●できないことを何度も練習させる

何度練習させてもできない時は、お子さんの苦手や不器用な部分が関わっているかもしれません。誰にでも、大人にも、苦手なことがあります。頑張れば本当にできるものなのか?確認しましょう。

●子どもに考えさせたり、反省させたりする

周りからほめられることよりも注意されることが多いお子さんは、自己否定をしている可能性があります。「僕なんて」「わたしなんて」という言葉が出ていないか注意しましょう。

 これらの関わりは、お子さんの苦手や困った行動を繰り返したり、強くしたりする可能性のある関わりです。特性かも?と悩む前に、まずは避けたい3つの関わりをしていないか、振り返ってみましょう。

 

もし、特性だったら?

自分の関わりを変えても子どもの成長や改善が見られない時、また実際に発達に特性があることが分かった時は、これからどうしたらいいのか不安になってしまうかもしれません。

確かに 不器用さや感覚の過敏や鈍麻、感情コントロールなど、子どもが持っている生き辛さは直るものではないかもしれません。でも、周りの理解やサポートがあれば、子どもは自分が持っている特性とうまく付き合うことができるようになります。

 そのためには、まずはお子さんのできないことや苦手なことを「手伝う」ことがとても大切です。

子どもは、周りから手伝ってもらうことで、「ひとりでできた」という経験や、「こうすればうまく行く」という物事の最適なやり方を学ぶことができます。また、自分が困っていることに対して、ママやパパが手伝ってくれたという安心感を抱くことができます。

 

子どものよくあるお悩みと対処法

では、こんな特性があった場合、どうすれば良いのでしょうか?

  • 毎朝決まったことをするだけなのに、スムーズにできない
  • 同じ間違いや失敗を何度も繰り返す
  • 人の気持ちを考えることができない

 このコラムを読んでくださっているみなさんも、一度は経験したことがあるお悩みではないでしょうか?今日からできるお子さんのサポートをお話しします。

●毎朝決まったことをするだけなのに、スムーズにできない

物事の優先順位を理解していない可能性があります。毎日同じことだったとしても、優先順位を数字や言葉、絵カードなどで視覚的に見せてあげましょう。また、お子さんの苦手なことやできないことが含まれている可能性があります。特に朝は時間がありません。思い切って手伝ってあげましょう。

 ●同じ間違いや失敗を何度も繰り返す

正しい方法ややり方を自分で考えることができていない可能性があります。正しい方法を目の前でゆっくり繰り返してあげたり、動画サイトを活用したりして、正しい方法ややり方を教えてあげましょう。できていないことではなく、できる方法を伝えましょう。

 ●人の気持ちを考えることができない

人の気持ちを考えることができないお子さんは、自分の気持ちを理解していない可能性があります。うれしい気持ちも悲しい気持ちも、まずはお子さんの気持ちに第一に共感しましょう。周りから共感されて自分の気持ちを理解できるようになると、周りにも目を向けられるようになります。

 わたしも息子が小さい頃、性格だと思っていたことが特性だと分かり、何度も厳しく練習させたり、人の気持ちを考えさせたりしていたことがありました。

でも、そんなことを繰り返していたら親子関係が悪化し、息子はわたしの顔色を見て動く子になってしまったのです。これではいけない・・・と関わり方を変えたところ、小学4年生の頃には担任の先生が、息子に診断がついていることを私が話すまで知らなかった、ということがありました。これは、息子が自分の特性とうまく付き合えるようになったということなのだと思います。

 

子どもを手伝うことに抵抗がある方へ

でも、ご自身が子どもの頃に親や周りから手伝ってもらった経験がなかったり、ひとりで頑張らないといけなかったりした親御さんは、手伝うことに対して、あまりよくないイメージを持たれるかもしれません。子育てって、自分と向き合うことも増えますよね。お子さんを手伝うことに躊躇される方は「なぜ抵抗があるのか?」を考えてみることもおすすめです。

 また、教育評論家の親野智可等さんはTwitterで以下の発信をされています。

 「子供ができないことを親や先生がやってあげてると、いつまでも自分で自立できない」という説は迷信であることが発達心理学者の内田伸子お茶の水女子大学名誉教授の研究で判明。本当にこれほど罪深い迷信はありません。こういう迷信が子育てを必要以上に大変にし、親と子供を苦しめてきたのです。

 引用元:親野智可等 Twitter(@oyanochikara) https://twitter.com/oyanochikara/status/1613626880623775746?cxt=HHwWhMDQuafG4OQsAAAA

 

 「子育ては自分育て」とも言われていますよね。わたしも子育てを通して、自分自身と向き合っています。

その困った行動が、特性だったとしても、性格だったとしても、目の前の子どもにあった適切な関わりをしていきたいですね。

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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