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子どもの困った行動に「やめなさい」は逆効果!? 注意よりも効果的な関わりとは?

些細なことで起こる癇癪や、言ってほしくない乱暴な言葉遣い、お友達への暴力……今すぐになんとかしたいですよね。その都度注意しても、聞く耳を持たないどころか、日々エスカレートしているような気さえする……。

発達特性なのか?それとも、わたしの育て方が悪いのか?あきらめや焦りで、注意する声がますます大きくなってしまいます。

でも、お子さんの困った行動がエスカレートする原因のひとつに周囲が良かれと思ってする「注意」や「アドバイス」が関わっている可能性があります。

今日は、癇癪、暴言・他害などのお子さんの困った行動があった時に、見直してほしい関わりをお話しします。

 

なぜ、困った行動が繰り返されるのか?

お子さんが困った行動を繰り返す時、わたしたちは、「言葉で伝えたら、いつか分かってくれる」と考えます。年齢を重ねたり体が大きくなったりすると、その分、理解力も上がると考えるので、なおさらです。

でも、何度注意しても困った行動が改善しない時は、お子さんにとって周りからの注意やアドバイスは、「自分のことを否定された」という思いだけを受け取っている可能性があります。

こちらとしては、「教えてあげたい」「落ち着かせてあげたい」というつもりだったとしても、お子さんにとっては、「分かってくれない!」「否定された!」「意地悪された!」と堂々巡りをしているイメージです。

教えてあげることや注意することがダメということではありませんが、お子さんに届けるためには「順番」を考慮する必要があります。

癇癪、暴言・他害があったらまずは「反応しない」

お子さんが癇癪を起こしたり、暴言や他害をした時には、「反応しない」ことをやってみましょう。なぜなら、このような困った行動を起こしているお子さんは、すでにパニックに陥っている可能性があるからです。わたしたち大人でも、すごくショックなことがあった時、周りからとやかく言われるよりもそっとしておいてほしいと思いますよね。

例)お子さんが癇癪を起こした時

大きな声で泣き叫んだり、物を投げたりしています。その様子を、横目で確認しつつ……注意したり、睨んだりしない、ということです。

例)お子さんが暴言を吐く時

お子さんが「うんち」「ぶっ殺す」「てめえ」などと言っています。言ってほしくない言葉を言っているお子さんに対して注意したり、正しい言葉を教えたりせず、暴言が終わるのを待ちます。

例)お子さんがママに対して他害をする時

お子さんから叩かれる、蹴られる。すごく痛いですが、「痛い」や「止めて」など声をかけたり、注意したりしません。声をかけないことでエスカレートすることがありますが、それでも反応しません。

「反応しない」ということは、「言葉をかけたり、見たりしない」ということです。きつい言葉だと、「無視」です。でも、「無視」で終わってしまうと、その子の人格を否定することになってしまいます。

「反応しない」の後にやることをお話しますね。

次に、子どもの気持ちを「代弁」する

激しい癇癪を起こされたり、暴言や他害があったりすると、子どもに共感する気持ちになんてとてもなれませんよね。でも、「子どもの気持ちの代弁」ができるかどうかが、困った行動が落ち着く分かれ道でもあります。

例えば、もっと長い時間動画を見ていたかったのに、途中で終わりになって癇癪を起こしているお子さんへの代弁は、「もっと見たかったのに、悲しいね」

弟にむかって、「ぶっ殺す!」と連呼していたお兄ちゃんや、ママの背中をずっとバチバチ叩いていたお子さんへは、「何か嫌なことがあったのかな」

などなど。

お子さんの困った行動の原因は、わたしたちの目には見えないところにあったり、子どもの力や語彙力では説明できないところにあったりします。「うるさい!」「やめなさい!」「そんなこと言わないの!」と言うことはカンタンですが、まずは、

  1. 反応しないこと
  2. 子どもの気持ちを代弁すること

この2つの実践でお子さんの困った行動の本当の原因が見えてくるでしょう。

一番最後に、「教える」

お子さんが困った行動を繰り返す時、「こうすればいい」と、つい言葉で正しいことを教えたくなります。その方が近道だし、お子さんのためにもなりますよね。

でも、わたしたちも、腹がたっている時や落ち込んでいる時に正論をぶつけられると、責められた……と感じたり、悲しくなったりしませんか?

子どもたちも、同じように感じているんです。

特に、発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、乱暴な言動があっても心の底では、深い悲しみや苦しみをいつまでたっても忘れずに持ち続けていることがあります。

だからこそ、まずは代弁でお子さんの心を満たし、その後に、「もっとこうすると良いことがあるよ!」といううれしい見通しを与えてあげることが大切です。

注意することが決してダメということではありません。でも、「順番」を間違えるだけで、お子さんの自己肯定感を低下させてしまう可能性があることを覚えておいてください。

まずは2週間、お子さんの気持ちの代弁からやってみてくださいね。

もっと詳しい説明は著書に書いてありますので、参考になさってください。

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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