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宿題ができない原因=3つの「ない」。解決策は?

毎日椅子に座って机に向かう習慣をつけたい。学校から帰ってきたら、自分から進んで宿題をしてほしい。間違えることにいちいち怒ったり泣いたりせず、最後まで集中してほしい。

勉強や宿題の悩みって、永遠ですよね。わたしも、自分の頃のことを棚にあげて、小学1年生になったばかりの息子へ「早く宿題しなさい!」と毎日毎日言っていました。

宿題をしないお子さんに対して、わたしのような言葉かけをしている方は要注意です。わたしのような言葉かけをしていると、お子さんが「宿題」という言葉を聞いただけで機嫌が悪くなってしまい、親子バトルが絶えない状態になることも……。

宿題ができないのは、3つの「ない」のせい?

宿題をしないお子さんに、「早く宿題しなさい!」と急かしたり、「宿題しないと先生に怒られるよ!」「宿題しないとゲーム禁止!」と脅したりするのは、言い続ければいつかやってくれると思っているからではないでしょうか。

学校で宿題の内容は聞いて来ているし、連絡帳を見れば宿題の内容が分かるでしょ?もし宿題の内容を覚えていなくても、連絡帳を見て確認して、やるだけ。

でも、スムーズに宿題に取り組めないお子さんは、3つの「ない」を感じている可能性があるのです。

1.連絡帳を探せ「ない」

発達障害やグレーゾーンのお子さんにとって、「探す」ということはとても大きな課題になります。いつも定位置にあるものは理解できても、それ以外のものを探すことがとても難しいのです。

ランドセルには、同じような大きさの教科書やノートがランダムにびっしり入っています。このたくさんの中から、ひとつを取り出すことが難しいのです。このようなお子さんは、他の場面でもこんなことがあります。

例えば、探し物がお子さんのすぐ目の前にあり、「ほら!そこにあるよ!」と伝えても全く違う方向をキョロキョロしてしまい、すぐ目の前にあるものに気づかず、オロオロとしているというようなことです。

2.「宿題」という言葉にピンときて「いない」

「宿題」は、その日によって変化するものです。音読、漢字練習、計算ドリル……顔ぶれは同じでも、読む場所が変わったり、書く文字や解く問題が変わったりします。このように日や曜日で変化するものを、わたしたちは「宿題」と総称しています。

発達障害やグレーゾーンのお子さんは、この総称や概念の理解が難しい場合があります。「着替え」や「ご飯」についても同様で、言葉を聞いても行動に移せないことがあります。

もし、心当たりのある方がいらしたら、「宿題ってどんなことか知ってる?」と、お子さんに確認してみましょう。

3.不器用で筆記用具をうまく使えて「いない」

不器用なお子さんも、宿題へのハードルがグーンと高くなってしまいます。

発達障害やグレーゾーンの不器用さが「軍手を5枚重ねている状態」と表現されることがあるように、鉛筆や消しゴムを使うことはもちろんのこと、ランドセルの中から教科書やプリントを出すことやページをめくることも大きな課題になってしまうのです。本当は宿題をやりたい!と思っていても、宿題まで行き着く途中で心が折れてしまっているのかもしれません。

家庭学習の習慣をつけるための3つの解決策

3つの「ない」を解決する基本的な考え方は宿題に取り組む前のハードルを「なくす」です。

解決策1. 連絡帳や宿題のページを開いておく

(え?こんなことまでしてあげなきゃいけないの?)という声が聞こえてきそうですが、「こんなこと」と思うならば、まずはやってあげましょう。

お子さんにとっては、3つの「ない」をクリアして本来の目的の「宿題」だけに集中することができます。甘やかしと感じるかもしれませんが、このサポートをしたことで小学校高学年のお子さんでも「自分から進んで宿題に取り組めるようになった」という報告をいくつもいただいています^^不器用なお子さんには、筆記用具(鉛筆や消しゴム)を出しておくこともオススメです!

ちなみに、わが家では小学校6年間、鉛筆はわたしがずっと削ってあげていました。中学生になりシャープペンシルになり、芯が無くなったら自分で変えて宿題に取りかかっています。

解決策2.はじめと終わりに印をつける

連絡帳や宿題のページを開いたり筆記用具を準備してあげたりしても、なかなか宿題に取り組めないお子さんにはもう少しサポートが必要です。

今まで宿題をめぐってバトルを繰り広げていた場合、「宿題」という言葉を聞くだけで拒否反応を示してしまうこともあります。その場合は、もっともっと宿題への取り組みのハードルを低くしてあげる必要があります。

例えば、音読の場合、国語の教科書の読みはじめと読み終わりに付箋などで印をつけてあげる。計算ドリルのはじめと終わりのページに丸をつけてあげることで、お子さんが「ここからここまでやればいいんだ」と見通しを持つことができるようになります。

また、計算ドリルなどは、1ページに何個も問題が出されていますよね。お子さんの中には、そのページのどの場所からどんな順番に解いていっていいか迷ってしまい手がつけられない……ということもあります。そんなことで!?と思うかもしれません。でも、意外と多いんですよ。

さらに、分からなくて迷っていることでぼーっとしている、集中していないと思われて急かされてパニック……という状態にも。

お子さんが取り組みやすい環境を考えてみましょう!

解決策3.休憩もスケジュールにいれる

集中することは、大切ですよね。集中すれば、宿題も早く終わりお子さんにとってもうれしい効果があるはずです。

でも、人間の集中力ってどのくらいか知っていますか?実は、15分程度しか続かないのだそうです。この情報は、塾のサイトなどでも紹介されていて、集中力をうまく使うには適度な休憩や運動が必要だと書かれていました。

でも、この管理をお子さん自身がするのって難しいですよね。わたしも、この情報を知らずに宿題が終わるまでやらせることが大切だと思っていた時期がありました。

お子さんの頑張りや継続性を伸ばすには「もっとやりたい!」というところで止めておくことが大切です。そのためには、「宿題が終わるまで集中」ではなくこまめに休憩やご褒美をうまく使って、目の前のことにしっかり集中させてあげましょう。

宿題ができないのには理由があります。「早く宿題しなさい!」と言いたくなる気持ちはぐっとこらえて、ぜひ、お子さんの性格や特性に合わせてご紹介した解決策を実践してみてくださいね!

 

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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