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「死ね、ウザい、消えろ」暴言が直らない、発達障害の疑いがある子

私は療育アドバイザーという仕事柄、発達障害がある子やグレーゾーンと言われているお子さんの親御さんから様々なご相談をいただくのですが、その中でも多いのが「暴言」「乱暴な言葉」に関するお悩みのご相談です。例えば……

「発達障害の疑いのある、年長の男の子の母です。息子は、お友達に向かって乱暴な言葉や傷つける言葉を言ったり、人前で言って欲しくない恥ずかしい言葉を繰り返してしまいます。最近は、お友達から注意されたり、避けられたりすることがきっかけで、ますますエスカレートしているようで困っています。家で注意しても聞く耳持たず…解決策が知りたいです。」

 

年長さんのお子さんの暴言にお困りとのこと。(この記事では、乱暴な言葉や適切ではない言葉のことを暴言と表現します)暴言がエスカレートしているということは心配ですね。年長さんなので、就学前になんとかしたい!という気持ちや、手が出るなどの行動に発展したらどうしよう…という不安な気持ちや焦りが出てきてしまう時期かもしれません。

今日は、「暴言が直らない子どもへの対処法」についてお話しします。園で起きていることやお友達が関わっていることも、自宅での関わりが重要なポイントになります。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

その場で指摘しても変わらない場合もある

乱暴な言葉も、人を傷つける言葉も、人前で言ってほしくない言葉も、聞いていて嫌な気持ちになります。私の息子も、テンションが上がってしまうと、お友達に暴言が出ることがありました。自分に向けられた言葉でなかったとしても、(どうしてそんな言葉を平気で使っちゃうの?)と、悲しみや怒りがわきました。

一般的には子どもが暴言や不適切な行動をした時、その場ですぐ指摘して正しいことを教えることが、子どものためには大切なことだと考えるのではないでしょうか。すぐに言わないと親子ともに忘れてしまう、ということもあると思います。

しかし、発達障害やグレーゾーンのお子さんは、その場で指摘して正しいことを教えても、なかなか改善しません。逆に、ますます暴言を吐いたり、怒ったりしてしまいます。このような状態が3ヶ月以上も変わらない、または、エスカレートしている場合は、お子さんへの関わりを変える必要があります。

なぜ、暴言が改善しないのか?暴言が改善しない関わりとは?

今まで、たくさんのお悩みをお聞きして感じるのは、お子さんの暴言が改善しない時には、特に以下の2つの関わりをしていると感じています。

  1. その場で注意し、反省させる
  2. 相手の傷ついた気持ちを考えさせて、謝らせる

ひとつずつ、解説します。

-暴言が改善しない関わり1.その場で注意し、反省させる

暴言は、相手を傷つけたり周りに迷惑をかけたりしていることなので、注意や反省は当然のことと思うでしょう。

でも、暴言が出てしまうお子さんにはきっかけがあります。

例えば、自分が遊んでいる、または、遊ぼうとしているおもちゃをお友達が急に触ったなど、不快に感じる原因があり、そのことが暴言が出る「きっかけ」になっているのです。

周りの大人は、そんなことで?お友達にひと言伝えたらいいだけなのに、と感じてしまいますが、本人なりの見通しを邪魔されてしまうと、怒って暴言が出てしまうことがあるのです。

とはいえ、本人の見通しは周りには見えない部分ですし、大人は「言い続ければ、いつか分かってくれるだろう」と、いつもと同じ関わりをしてしまいます。

-暴言が改善しない関わり2.相手の傷ついた気持ちを考えさせて、謝らせる

このように、暴言を吐くお子さんには暴言を吐く理由があるのですが、大人はその理由を知ろうとする前にその子を叱り注意し、さらに追い打ちをかけるように「相手の気持ちを考えて」という課題を与えてしまうことがあります。

たしかに「人を傷つけることや悪いことをしたら謝る」ということは、生きていく中で大切なことですし、私たちもそう教えられて生きてきました。相手の気持ちを想像し、痛みを理解させることが大切だと、親なら誰もが考えますよね。

しかし、注意や反省を促されることで、「嫌な思いをしているのは僕なのに、どうして謝らなきゃいけないの?」「こんなに嫌な思いをしているのに、誰も分かってくれない!」など、お子さんにとってはダブルパンチになってしまうのです。

まずは、注意や反省をさせる前に「暴言のきっかけ」を探してみてくださいね。

発達障害・グレーゾーンの子どもの暴言の観察と対処法

やってはいけない関わりと知っても、暴言が改善しないお子さんを目の前にすると上記の関わりを繰り返してしまう親御さんが大半です。しかも園や学校からは「おうちでもしっかり言い聞かせてください」などと言われるのですから、どうしたらいいかわからなくなってしまいますよね。

そんな時には、まずは次の2つのことを観察し、実践してみてください。なぜなら、発達障害やグレーゾーンのお子さんの以下のような特性も、暴言がなかなか直らない原因になっている場合があるからです。

-暴言の観察と対処1.言葉の意味を聞く

発達障害やグレーゾーンのお子さんの中には、「誰かが言っていたから言って良い言葉」「〇〇と言えば、周りが強く反応してくれる」といった理由で、適切ではない言葉を繰り返すことがあります。聞いている人にとって不快で傷つく言葉であっても、言っている本人が言葉の意味を理解しているとは限らないということです。

このような可能性が考えられる場合には、お子さんが落ち着いている時や機嫌が良い時に、「〇〇(暴言)って、どんな意味か知ってるかな?」と聞いてみてくださいね。ずっこけてしまうような回答をされる場合がありますよ。

-暴言の観察と対処2.適切な言葉を教える

言葉の意味を理解していて、本当は言ってはいけない言葉だと分かっていても、どんな言葉に言い換えていいか分からないことがあります。「暴言を言わない」ということが一番ですが、衝動的に言葉が出てしまう場合は、止めることができません。「言わない」は最終ゴールですので、その前段階のスモールステップを考える必要があります。

以前、大人の発達障害の方が、「自分が間違っているということは分かるけれど、どういえば適切かを考えることができない」とおっしゃっていました。このような時には、まずは暴言ではない言葉や、発しても周りを不快にさせない言葉を決めてあげましょう。例えば、「クソ!」「ぶっ殺す!」などの言葉を、「待って!」に変えることでスモールステップになります。

また、言葉を口頭のみで教えるのではなく、文字や状況のイラストで「視覚的に」伝えることも、発達障害やグレーゾーンのお子さんが理解しやすいポイントです。

暴言がこれ以上エスカレートしないために、暴言が手が出るなどの行動にならないように、まずは自宅から2つの観察と対処をして予防をしていきましょう。

ぜひ、やってみてくださいね^^

 

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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