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発達障害と仕事ー発達障害がある人の6つの働き方

発達障害を抱える人の働き方には、様々な選択肢があります。働くことは経済的な要素はもちろんですが、生活の質全体にも深く関わります。収入だけで選ぶのではなく、働きやすさや、やりがいなども考慮して選ぶことで、仕事での自分らしさを発揮できるはずです。

これから紹介する6つの働き方を、自らの能力を最大限に活かせる仕事選びの参考にしていただければ幸いです。

一般就労と福祉的就労

発達障害のある人の働き方は大きく2つに分けられます。1つは一般就労、もう1つは福祉的就労です。

一般就労とは、発達障害に関係なく、普通に企業で働くことです。障害の有無に関わらない雇用条件に基づいて働くことになります。一般就労では、発達障害の有無を問わず、仕事が割り当てられます。一般的な社会と同様のルールや慣習に従いながら、自己実現や経済的な自立を目指します。

一方、福祉的就労は、障害者支援の枠組みの中で働くことを指します。適切な支援や配慮を受けやすい環境であることがほとんどです。また定着支援のような、外部の人が仕事を継続するためのサポートをしてくれることもあります。

一般就労と福祉的就労の3つの違い

一般就労と福祉的就労には3つの面で大きな違いがあります。

1つ目は収入面での違いです。福祉的就労は一般就労に比べて収入が低いことが多いです。2つ目は配慮や支援面での違い。一般就労は基本的には特別な配慮や支援がない環境ですが、福祉的就労はそれらが提供される職場がほとんどです。3つ目はキャリア構築面。一般就労はスキル次第でキャリアを切り開いていくことをしやすいですが、福祉的就労はキャリアアップが見込めないケースが少なくありません。

人によって得手不得手、特性は異なりますので、できれば自分のことをよく知っている家族や主治医等の意見も聞きながら、一般就労と福祉就労のどちらを選ぶか熟慮していただきたいと思います。また方針を決める上で、後述する6つの働き方の解説も参考にしていただけたら嬉しいです。

一般就労で働く

一般就労の中にも、いくつか種類があるので、整理していきましょう。

一般就労:クローズ就労で働く(働き方①)

クローズ就労は、会社に発達障害があることを言わずに働くことです。障害があることを伝えていないので、合理的配慮が受けづらい特徴があります。中には、直属の上長にだけ伝えたり、一部の同僚にだけ伝えたりして、働きやすくなるように配慮してもらっている方もいます。

一般就労:オープン就労で働く(働き方②)

オープン就労は、会社に発達障害があることを公表して働くことです。クローズ就労に比べて、合理的配慮が受けやすくなりますが、一般就労のため業務の量が減る訳ではありません。普通に仕事をこなしていくことになります。

働いている途中で発達障害の診断が下りた場合にオープン就労になるケースが多い一方で、面接の時から障害をオープンにした状態で一般就労を受け入れてくれる会社はまだまだ多くなく、特別なスキルがないと難しいのが現状です。

福祉的就労で働く

福祉的就労は主に3つに分けられます。

福祉的就労:障害者雇用(一般企業)で働く(働き方③)

障害者雇用は、障害者雇用の枠で働くことです。収入は200万円前後のところがほとんどですが、一部企業によっては300万円台後半から400万円台の職場もあります。業務は、一般雇用よりも限定されていて、合理的配慮も受けやすい職場環境です。障害年金をもらいながら働いている人も多くいます。

福祉的就労:特例子会社で働く(働き方④)

特例子会社は、障害者雇用のための特別な会社形態です。障害者の雇用促進と安定を目的に、大手企業が子会社として設立した会社です。障害者雇用と同様に、年収は低めに設定されています。

障害者雇用を目的としている会社なので、職場環境はかなり整えられていることが多いです。ただキャリアアップのチャンスは障害者雇用よりも限られます。
職場には障害のある人がほとんどなので、障害者同士の交流がしやすい特徴もあります。

福祉的就労:就労継続支援で働く(働き方⑤)

就労継続支援は、a型は雇用契約を結んで、b型は雇用契約を結ばずに働くことができる福祉サービスです。就労時間が短く、工賃の形で収入を受け取ります。合理的配慮を受けられる職場が多く、障害年金をもらいながら働いている人がほとんどです。

その他の働き方で働く

私はこちらの働き方を選択しています。

自営業、個人事業主、フリーランスで働く(働き方⑥)

自営業、個人事業主、フリーランス、厳密に言うとそれぞれ意味は異なりますが、どれも個人が独立して事業を行う形態です。スキルや専門性、自らの能力やアイデアを活かして自分のペースで仕事を進めることができます。自由に働ける代わりに、上手くいかなくても自己責任。収入の不安のストレスを受け続けることになります。向いている人には天職、そうでない人には全く向かない働き方です。

ADHDのある私は発達障害専門のファイナンシャルプランナーとして開業していますが、人にはこの働き方を積極的にはオススメしていません。

発達障害6つの働き方ーまとめ

2024年4月1日より、事業者による障害のある人への合理的配慮が法的義務化され、障害者の法定雇用率は2024年には2.5%、2026年からは2.7%になることが決定しています。障害のある人にとっては、就労の機会の追い風になるはずです。

しかし、雇用率を満たすだけの雇用でスキルアップやキャリアアップが見込めない職場もまだまだ多く見受けられます。これらの法律の改正や変更によって、ただ雇用率をあげるための雇用ではなく、障害があっても仕事を通して、本当の意味で自己実現できる機会が増えることを願っています。

一般就労であっても福祉的就労であっても、皆が配慮を受けられて、安心して暮らしていける収入を得られる社会になることを望みます。

私もお金のサポートを通して、障害のある方々の自己実現に寄与できるように、努力していきます。この記事が皆様の仕事選びの参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

岩切健一郎(いわきり けんいちろう)

発達障害専門FP。ファイナンシャルプランニング技能士1級。
1986年生まれ、宮崎県宮崎市出身。
自身もADHDがあり、お金に苦労した経験から発達障害専門FPとして活動。
親亡きあとのマネープラン、発達障害当事者のライフプランを
年間100件以上作成。
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