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発達障害のある私。暗黒の思春期を支えてくれたのは

2024.07.31

思春期は誰にとっても難しいお年頃。友達とのこと、恋愛のこと、自分の身体のこと、勉強のことなど、何かしらで悩んだ経験のある人も多いことでしょう。発達障害(ADHDと算数LD/学習障害)がある私にとっては、学校や社会で求められることのレベルが上がり、また人間関係も複雑になった中高時代は、自分の苦手と直面し、時に孤立してしまうようなとても苦しい時期でした。(私に発達障害の診断が下りたのは30歳の頃なので、子ども時代はまだ障害が見逃されていました。)

女子の集団行動に戸惑って一人に……

それまでは男女仲良くわけ隔てなく遊んでいたのが、小学4年生あたりから女子にグループができ始め、それぞれが集団行動をするようになりました。私はどのグループにも入れず一人孤立してしまいました。そして、昼休みは本を読んで過ごすようになったのですが、当時の担任とソリが合わず「天気がいいんだから外で遊びなさい!」と読書を中断させられ、母の知人でもあった養護の先生と話すために保健室に逃げ込んだこともありました。 また、他の女子よりも早めに二次性徴が来たため、生理痛との闘いもあり、それを理解してもらえる人がいなかったのもつらかったことの一つです。
そして、当時はただの努力不足だと思っていたのですが、算数LD (学習障害)のせいで小3あたりから算数の授業にまったくついていけなくなりました。他の教科では100点を取れているのに算数だけ60点ということがよくありました。算数ができないことをクラスの男子にからかわれ、親にも何度も怒鳴られました。

暗黒の中高時代

そんな中、中学受験をして私立の中高一貫進学校になんとか滑り込みました。自由な校風を謳っていたので伸び伸びと羽を伸ばせるかと思いきや、スクールカーストという大きな壁が待ち受けていました。

スクールカースト上位の女子たちは校則違反である化粧をしたりスカートの丈を短くしていたりしています。しかし私は親が厳しかったためそのような格好はできず、校則通りに制服を着ていたらスクールカースト底辺とみなされ、オタクグループに所属することになりました。

今はギャルでもオタク趣味を堂々と宣言できる時代ですが、当時は漫画やアニメを好む人=暗いオタクというレッテルが貼られていました。当時、私は漫画やアニメに詳しくなかったのですが、オタクグループの子たちは優しかったので私はそこに身を潜めることにしました。

今思うと、ADHDの不注意の特性でぼんやりしていることもあったので、その仕草などがスクールカースト上位の人たちにとってからかう格好の餌食になったのかもしれません。そのため、上位のグループの男子から教室の後ろの黒板に「姫野キモい」といった紙を貼られるいじめを受けたこともあり、今でもその男子のことを許していません。

そんな 暗黒の思春期を過ごした私ですが、支えになっていたツールがあり、人たちがいます。

暗黒を照らす小さな光

嫌なことばかりの思春期時代でしたが、暗黒を照らしてくれる小さな光のような存在があり、それらのおかげでなんとかサバイブできたように思います。具体的にはインターネット掲示板、そして何かと気にかけてくれた学校の先生の存在が私にとって大きいものでした。

インターネット 掲示板での雑談が気晴らしになった

今や誰もがスマホやパソコンでネットを使いこなしていますが、私はインターネット黎明期からネットを利用していました。リアルの知り合いでインターネットを利用している人は少ししかいない時代でした。小学生の頃は父のお下がりのパソコンでゲームをする程度でしたが、中1のクリスマスプレゼントに自分専用のパソコンを買ってもらってから、インターネットを利用し始めました。そこで、たまたま見つけた個人が作った簡単なゲームサイトの掲示板で、名もなき人たちと雑談をすることが気晴らしになっていました。

何かと気にかけてくれた文系科目の先生たち

算数LDのせいで理系科目の成績はボロボロだったのですが、文系科目の先生方は私のことを気にかけてくれていました。特に古文の先生は私の文章力を褒めてくれていて、オススメの本を教えてくれることもありました。この先生とは、卒業して20年近く経つのに未だに交流が続いており、先日結婚した際には結婚祝いもいただきました。もう一人、日本史の先生も休み時間によく雑談してくれました。その先生の部屋に行くとコーヒーを淹れてくれて仲良くいろんなことを話したものです。

学校という場所は私にとっては居心地が悪く大嫌いな空間でしたが、インターネット掲示板と、目をかけてくれた先生方の存在が、安らげる居場所となったため、なんとか不登校にならずに済みました。

さいごに

発達障害があると生きづらさを感じることが多いのですが、思春期にはその生きづらさが増します。しかし、理解してくれる人や場所はきっとあります。 だから、今思春期のただ中にある発達障害当事者には、自分だけの居場所を見つけてもらいたいですし、親御さんにはお子さんにとって「自分だけの居場所」を見つけることがどんなに大切か知っていただけたらと思います。

 

執筆者プロフィール

姫野桂

フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。
日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナと読書、飲酒。

著書
『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)
『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)

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