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脳は否定形がわからない

自閉症は想像力に障害があるそうで、「曖昧な言いかたではわからない、具体的に言わないと伝わらない」と言われています。少なくとも自閉症のある息子はそうだと思います。24歳の大人になってもそうです。

息子がショートステイを利用したとき「夕飯は何を提供されているのかな」と気になって「ラインでご飯の写真送って」と連絡して送られてきたのがこれ!

実際に息子から送られてきた写真です。

 

「御飯、おかず、提供されたもの全部、写真に撮って送って」と言えばよかったです。曖昧な表現は息子には伝わりません。

肯定形に言い換えるには

では、どのように言い換えればどんな相手にも意図が伝わりやすくなるのでしょう。

×「走らないで」⇒ 〇「歩きなさい」「止まって」

×「手で食べないの」⇒ 〇「フォークを使って食べようね」

×「絶対に遅刻しないように起きなさい」⇒ 〇「時刻通り起きよう」

×「席を立っちゃ駄目」⇒ 〇「座りましょう」

×「怒鳴ってはいけません。騒がないで」⇒ 〇「小さい声で言いましょう」

×「汚く使うな!」⇒ 〇「綺麗に使おう」

×「散らかさないで」⇒ 〇「片づけよう」

×「ピチャピチャ音を立てて食べないの」⇒ 〇「口を閉じて食べよう」

×「残さないで食べなさい」⇒ 〇「お皿の上をピカピカにしよう」

×「肘をつかないで食べなさい」⇒ 〇「肘はテーブルの外側にね」

×「独り占めしないで」⇒ 〇「お友達に譲ろう」

上のように言い換えることで、行動もしやすくなりますし、否定されたという不快な気持ちも残りにくいです。

大人の社会の中でも遅刻ばかりする人に「遅刻しないでください」と伝えるよりも「8時5分前に到着しておいてください」とキッチリカッキリの時刻を伝えた方が相手は不快にならないですし、集合時刻が明確でいいですよね。

絶対に覗いてはなりません

以前、東京タワーに「 蝋人形館」という観光スポットがありました。薄暗い空間にいろいろな有名人の本物そっくりな蝋人形が並ぶ奇妙な場所でしたが、そこに壁に直径3センチほどの穴が開いていて“絶対に覗いてはなりません”と書いてある展示がありました。でも、結構覗いている人がいるのです。もちろん私も覗きました。

禁止されるほど好奇心が湧くからです。それから「覗くな!」と言われれば言われるほど“覗く”という言葉が印象付けられるからです。そういう意味でも本当にやってほしくないことに否定形を使うのはよくありませんね。

このように、言葉の使い方に敏感になる息子との暮らしです。

 

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
Voicy  https://voicy.jp/channel/4272
オフィシャルサイトURL https://tateishi-mitsuko.com/
テキトー母さんのすすめ(アメブロ) https://ameblo.jp/tateishi-mitsuko/

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