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(新入学)ほかの子と比べて落ち込んでしまうとき

ご入学、おめでとうございます。1年生にとって、何もかもがはじめての環境で、とまどうお子さんもいらっしゃるかもしれません。

特に、発達障害やグレーゾーンのお子さんは、環境の変化や騒がしい場所が苦手。我慢や反動から、暴言・手が出る・かんしゃく・やる気が起きないなどの行動を引き起こすことも多くあります。

学校から連絡がある度に、(うちの子だけ?)と不安になり、焦って厳しく接してしまう・・・自分のイライラが止められず、怒りをぶつけてしまう時ってありますよね。定型発達に見えるほかの子をうらやましく思ってしまって、そんな自分に自己嫌悪に陥ることもあるかもしれません。

今日は、周りのお子さんとの差が気になり、わが子に厳しく接してしまうママやパパへ、ネガティブな感情から抜け出す方法を、わたしの経験をふまえてお話しますね。

ネガティブな感情から抜け出す方法①:ひとりの時間を持つ(具体的に日時や行きたい場所を決める)

軽視されがちですが、親が「ひとり時間」を持つことはとても大切です。自分ひとりの時間を持つことで、子どもとの距離を置くことができたり、自分自身のクールダウンになったりします。

ちなみに怒りは6秒我慢するとおさまる(6秒ルール)と言われていますが、6秒も我慢できるようになるには、それなりに成功体験が必要です。怒る言葉が反射的に出てしまう時には、その6秒がとても難しいと感じました。

怒りを我慢する成功体験を作る一歩として、自分がイライラしそうになったらトイレに行く、寝室に行く、買い物に行くなど・・・子どもを視界から外すことで言葉をぶつける機会が減っていきます。

その時に、自分の感情をメモしておくこともオススメです。子どものどんな言動に、どう感じたか?冷静になって見返した時に、言葉かけや対処法を考えることができます。

また、まとまった時間ひとりになれる予定があるなら、やることをスケジュールしておくこともオススメです。例えば、4月20日の11~15時までは自分の時間にすると決めて、行く場所ややることを決めてメモしておきます。11時に〇〇のお店でランチを食べ、その後、13時に美容室へ行く。など。

具体的にスケジュールを決めたり予約をしておくことで、自分だけの時間を過ごすことができます。わたし自身、イライラがたまって爆発する時って、特に自分の時間がない、やりたいことができない、ということに気付きました。自分の時間を持つことで、子ども以外のことに目を向けられるようになると、怒りと距離を置けるようになるかもしれません。

ネガティブな感情から抜け出す方法②:短期と長期の目標を立てる

「①ひとり時間を持つ」にも共通していますが、時間を確保して短期と長期の目標を立てることもオススメです。

入学はスタートです。特に大きく環境が変化する小学1年生は、今までできていたことができなくなったり、家と学校とで同じ子どもとは思えないくらい違った様子を見せたりします。

それらはお子さんのヘルプサインと言えますが、親にとっては「どうして?」という戸惑いにしかなりません。ますます「小学生になったのだから」「もう小学生なのに」というプレッシャーをかけてしまいます。

でも、入学をスタート地点だと考えれば、あと卒業まで6年間あります。いきなり大きな目標を立てず、3カ月後、6カ月後、1年後・・・とお子さんの様子や発達に合わせてスモールステップで目標を立ててみると、「今」必要なサポートが見えてくるかもしれません。

余談ですが、先日息子の学校のママたちとはじめてゆっくりランチをしました。子どもが高校生になっても話題は「まだ〇〇ができない」でした。でも、同時に「高校卒業までにできるようになったらいいか」と言って笑い合いました。

子どもが大きくなっても悩みはつきません。小さい頃とはまた違った質の悩みが出てきます。でも、長い目で見通しをもって考えられるようになると、心にも余裕がでてきます。

余裕があれば、お子さんだけではなくご自身の短期と長期の目標を立てることもオススメ!1年後、自分はどうなっていたいですか?

ネガティブな感情から抜け出す方法③:怒ったら素直に謝る

「②短期と長期の目標を立てる」にも共通していますが、最終的な目標は、自分の感情をコントロールし、子どもを怒らないことだと考えています。

でもそれは、口で言うほど簡単なことではありません。できていないところばかりが目についてしまって、最初は一言のつもりが、段々イライラ口調に変わって険悪になったり、泣かせてしまったり。

このようなことを繰り返し、限界のわたしがやったことは「謝る」でした。

はじめはうまく謝ることができません。自分は悪くない、困らせているのは子ども。謝るのは自分が負けを認めているように感じていたのかもしれません。

「ごめんね」の一言は、わたしにとって高いハードルでしたが、いざ言葉にしてみると、息子との間にあるどんよりした空気を溶かしてくれる魔法の言葉でした。また、わたしが謝るようになったことで、それまで謝れなかった息子が「ごめんなさい」と言えるようにもなりました。

間違いや失敗は、誰にでもあります。でも、その後どうするか?それは、子どもにも大人にも関係なく大切なことですよね。

「感情的に怒ってしまったら素直に謝る」ということは、わたしにとって小さな成功体験になり、感情コントロールの土台になりました。

子どもも自分も急には変われません。だから、「怒ってごめんね」と素直に謝る。

どなたかのヒントになればうれしいです。

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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