グループホーム建設をバックアップする仕組み

多くの親御さんから聞こえてくるのは、障害者の住まいとしてグループホームのニーズが高いけど、数が足りない、希望してもなかなか入れないという声です。そんな要望に少しでも応えるべく、国や自治体、または民間でもさまざまな取り組みがされています。

■ハウジングメーカーによる「建て貸し方式」の活用

 「建て貸し方式」とは、土地の有効活用を考えているオーナーにグループホームを建ててもらい、運営主体となる法人がその建物を一括して借り上げるというものです。
運営法人側のメリットとしては、土地や自己資金が無くても少ない自己投資でグループホーム建設が可能になります。また、新築なので当初から利用者に快適な住環境を提供できます。
そんな都合のいい話に乗るオーナーがいるのか、とお思いでしょうが、オーナーにとっても実はメリットがあるとのこと。土地の有効活用と言えばまずはアパート建設を考えますが、建てた当初は全室に入居者がいても、築年数が経ってくると人気が落ちて部屋が空いてしまう、というケースは多いようです。この少子化の時代にアパート経営は先行き不透明です。
それに対して、障害者グループホームであれば運営法人が長期間(30年程度)一括で借り上げるので、安定した収入が見込めます。また、福祉に貢献できるという精神的な充足感も得られます。
そして、グループホームを運営したい法人と、土地活用したいオーナーを結び付けるのが、大手のハウスメーカー。メーカーは担当地域の情報を持っているので、運営したい法人がメーカーに相談して、条件に合うオーナーを探しマッチングする、という流れが多いそうです。
この「建て貸し方式」を積極的に活用して、地域のグループホーム建設を推進しようと障害者計画に盛り込んでいる自治体もあります。今後に期待できる、大変具体的な方式だと思います。
 

■国の法律や自治体の条例による取り組み

全国的に増えている空き家について、使いみちを変更して有効活用できるようにと、今年建築基準法が改正されました。それによると、空き家を活用してグループホームなどを設置する場合、200㎡未満の場合は必要な措置を講じることで耐火建設物等とすることが不要となり、また建築手続きの面でも緩和条項が設けられました。
 自治体独自の取り組みをしているところもあり、奈良県生駒市では、同じように空き家を活用した障害者グループホームを整備する場合、市から補助金を出すという制度を始めています。また、大きな課題となっている働き手不足対策のために、スキルやモチベーションアップのための研修や、インフォーマルな交流会を実施している自治体もあります。
グループホームはハコだけ作っても運営事業者がいないと成立しませんし、周辺の住民の理解を得るなど乗り越えなければいけない壁もあり、これらの施策によってすぐにグループホームがどんどん建つというわけではないでしょうが、みんなで知恵を絞ることで、本人たちの地域生活の場を少しずつ広げていければいいですね。

執筆者プロフィール

渡部 伸

  • 1961年生、福島県会津若松市出身
  • 「親なきあと」相談室主宰
  • 東京都行政書士会世田谷支部所属
  • 2級ファイナンシャルプランニング技能士
  • 世田谷区区民成年後見人養成研修終了
  • 世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

渡部 伸