障害者と災害から身を守るために必要なこと~震災現場で1年間活動した経験から

6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災から、来たる2020年1月17日で四半世紀、25年を迎えます。私は、阪神・淡路大震災の時、西宮市で被災者の支援活動に従事いたしました。被災した障害者施設で生活する人たちが、支援する側として、炊き出し、声かけを行っていた姿に感銘を受け、1年間携わらせていただきました。ここでは、この支援活動の経験から、災害時に身を守るために必要なことについて書かせていただきます。

命を守るために準備しておきたいもの

災害の避難において、高齢者や身体障害者など移動に制限のある人は不利となります。東日本大震災におけるNHKの独自調査によれば、被災者全体の死亡率の2倍になるという調査結果があります。避難に必要な情報が届かない、避難すべきかどうか判断できない、地域との繋がりが薄い、支援できる方が支援を必要としている人に対して少ない、など様々な原因が考えられます。とにかく災害から命を守り、生き延びることが第一です。避難のハンディをカバーするために、次にあげるものは最低限用意しておきたいものです。

・障害者手帳、お薬手帳のコピー
・飲料水、保存食品、常備薬
・簡易トイレ
・LEDライト
・携帯用モバイルバッテリー
・折りたたみ式キャリーカート

LEDライトと携帯用モバイルバッテリーについては、停電を想定して、ソーラーチャージャーのものを用意しておくと便利です。特にモバイルバッテリーは、情報を受け取ったり、送ったりするための必需品ですので、日頃からスマートフォンとセットで携帯しておきたいものです。キャリーカートについては、断水により給水車から水を運ぶ作業が増えますので、負担を軽くするためにも準備しておきましょう。

地域で相互につながり支え合うことが防災につながる

ソフト面については、常日頃から、家族、近所、友人など周囲とのコミュニケーションが大切です。
私が避難所で活動した時も、ご近所同士の助け合いが大きな支えとなることを身にしみて実感しました。特に、独り暮らしの方にとって、顔見知りがいるだけで安心です。それから、障害のために、困ってしまうことがそれぞれにあると思います。自分の障害の配慮点についても周りの人に伝えておくと心強いです。

災害対策基本法では、災害時に自ら避難することが難しく、避難するために支援が必要な者を「避難行動要支援者」として、各自治体での「避難行動要支援者」の名簿作成を義務付けていて、それを基に支援者と個別避難計画を立てることになっています。しかし、実際に災害が起きた場合、1人の支援者が数人の要支援者をみなければならなくなり、支援が行き届かないことがあることも想定されます。ですので、どこに避難するか、支援者をどのように確保するか、シュミレーションしておくことも大切です。障害があり、一般の避難所での避難が難しい方のために、福祉避難所というものがあります。福祉避難所とは、バリアフリー機能を備え、障害者や高齢者の専門的なケアが受けられる特別な避難所です。どこに福祉避難所があるか、事前に把握しておくと安心です。

福祉とつながっておくことで、被害を防ぐ

時間がたって亡くなる「災害(震災)関連死」も深刻な課題になっています。安全を守ること、食べることといった命の支援から、仮設住宅に訪問して話し相手になったりといった心のケアや生活全般の支援へとニーズが変化していく中、長期的な支援の継続が欠かせません。私が支援する中で、ライフラインの供給が止まった中、在宅での生活を余儀なくされた障害がある方もたくさんおられました。不便が増えることはもちろんですが、災害に便乗した悪質商法が多く発生していて、特に障害のある人は標的になりやすくなります。日常でも言えることですが、ヘルプマークを付けていることで、逆に暴行や虐待の被害にあってしまうケースもあります。こういった孤立や被害を防ぐためには、周りに人が少ない状況にしないことが大事で、福祉につながっておくことで長期的な支援が必要になる災害時の頼みの綱になります。福祉サービスを活用して、相談支援専門員、民生委員、行政の窓口の人と相談できる関係を日頃から作っておきましょう。

障害者ドットコム
http://shohgaisha.com

執筆者プロフィール

川田 祐一(かわだ ゆういち)

石川県金沢市生まれ。
同志社大学卒業。阪神淡路大震災直後、知的障害者施設で障害者と一緒に炊き出しや仮設住宅訪問など支援に取り組む。
宇治市社会福祉協議会を経て、兵庫・宝塚のNPOで障害者の就労支援に携わり、その後、起業し、10年で事業所を阪神地域で12か所まで拡大した。
現在はインターネットメディア「障害者ドットコム」の代表、大阪医専の講師を務める。

川田 祐一
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